都議会本会議が12日開かれ、小池百合子知事の所信表明に対する代表質問が行われました。日本共産党は原田あきら都議が立ちました。物価高騰対策の補正予算案の財源の全額が国の交付金で、都の独自財源を使わず、中身も不十分だとし、「都民の暮らしに冷たい小池都政の姿勢が、くっきり表れている」と批判。「バブル期を超える史上最高水準が続く都税収入を、都民の暮らしと営業を守り、格差を是正するために使うべきだ」と迫りました。
給食無償化へ全額補助を
原田都議は「物価高騰から都民の暮らしと営業を守り、地域経済を建て直すことは都政の最重要課題だ」と強調。小池知事が所信表明で、高校授業料の実質無償化や、学校給食費の負担軽減に大胆に踏み出すと表明したことの背景に「都民運動の広がりがある」と指摘。
「『大胆に踏み出す』というからには、都の全額補助による給食無償化に踏み出すべきだ」「都立学校の給食無償化は約9億円でできる」とし、都による無償化を求めるとともに、4会派共同提案の無償化条例案への賛同を呼びかけました。
小池知事は都立学校と区市町村に支援するとし、学校給食費への支援について「予算編成の中で検討を行っていく」と答えました。
子どもの医療費助成拡充は急務
子どもの医療費助成は、23区では全区で所得制限も自己負担もない一方、多摩地域の多くの市町村には残されています。市長会の都への予算要望で、市区町村の財政状況により所得制限や自己負担の取り扱いに格差が生じていると指摘。2026年度から市に財政負担が生じる18歳までの医療費助成も含めて所得制限や一部負担金をなくすなど、医療費助成制度の再構築を最重点要望しています。
原田都議は「東京の子どもたちが等しく医療を無料で受けられるよう、都の制度を拡充すべきだ」と求めました。佐藤智秀福祉局長は18歳までの医療費助成について、都と区市町村との間で設置した協議の場で検討しているとしました。
補聴器助成の拡充
原田都議は「高齢者への支援はあまりにも手薄だ」とのべ、医療費の軽減、物価高騰対策の経済給付、シルバーパスの負担軽減や対象交通機関の拡大などを求めました。
福祉局が新年度予算に向けて補聴器購入費助成を行う、市区町村への補助を新規事業として要求したことを評価。財政力の弱い市町村を含め、全ての区市町村で実施できるよう補助率を包括補助の二分の一より引き上げて実施するよう求めました。
佐藤福祉局長は「区市町村や専門家など関係者の意見を聞きながら、効果的な施策の実施に向け、補助の仕組みを検討している」と明かしました。
地域経済立て直し
都内の11月の倒産は、前年同月比25%増で、15カ月連続で前年同月を上回っています。東京商工リサーチは、今後さらに増えると見込んでいます。
原田都議は東京都中小企業・小規模企業振興条例を全面的に生かした政策を進めることが必要だと強調。ゼロ金利融資の創設やコロナ対策融資の条件変更や借り換えも柔軟に行うなどの緊急対策を要望。地域経済を支える商店街や町工場などへの支援を求めました。
坂本雅彦産業労働局長は「条例の理念等に基づいて、資金繰りの支援や経営のサポートを行います」と述べました。
ケア労働者の支援
原田都議は、医療・介護・福祉などの現場で働くケア労働者が「賃金が低く将来に展望が持てない」といって職場を辞める実態を告発。「都内の医療・介護・福祉の現場を守るために、ケア労働者の賃上げができるよう支援すべきだ」と訴えました。
また、コロナ禍の教訓を踏まえ、新たなパンデミックに備え、多摩地域に5カ所しかない都の保健所の増設、保健師の増員などの体制強化を求めました。
保健所体制の強化について、雲田孝司保健医療局長は「検討会や市町村の意見等を踏まえて検討している」と答えました。
水素偏重は誤り
原田都議はドバイで開かれたCOP28(国連気候変動枠組み条約締約国会議)で、「化石燃料の削減ではなく廃止を」と訴えたグテーレス国連事務総長の発言に触れ、小池知事に「化石燃料は削減ではなく、廃止する立ち場か」と質問。
水素エネルギーを「脱炭素の切り札」と位置付け、需要がないのにあえて掘り起こしてまで、あらゆる分野で水素を活用しようとするビジョンは、「誤りで、改めるべきだ」と主張しました。
小池知事は化石燃料の廃止については触れず、「再生可能エネルギーの基幹エネルギー化を図っていく」と答弁しました。
原田都議はほかに、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルによるガザ侵攻に関連しての平和問題、高校生や都立大学の学費無償化拡充、住まいの問題、ジェンダー平等、英語スピーキングテスト、PFAS(有機フッ素化合物)汚染問題、米軍横田基地配備のオスプレイ墜落問題、陥没事故を起こした外環道、東京五輪招致を巡る疑惑などについてただしました。