自民党派閥の政治資金パーティーによる裏金事件を受け、29日に行われた衆参予算委員会の集中審議。日本共産党の塩川鉄也衆院議員、山添拓参院議員が質問に立ち、裏金事件の全容解明とともに、パーティー券を含む企業・団体献金の全面禁止を迫りました。
❚ 山添「裏金は何に使われたか」
首相、不法行為に使用ないと断言できず
山添氏は“派閥の解散より裏金の徹底解明こそ必要だ”と追及。多くを企業・団体に購入してもらったパーティー収入を議員側に還流させる派閥の「集金システム」を批判し、金権腐敗の根を断つ企業・団体献金の全面禁止を迫りました。
山添氏は、5年で6億7000万円もの不記載が判明した安倍派幹部から「歴代会長と事務局長の間で長年慣例的に扱ってきた」(西村康稔前事務総長)、「秘書が簿外で管理していた」(世耕弘成前参院幹事長)など責任転嫁する発言が相次いでいると批判(図)。岸田首相がいう役員によるヒアリングでは同じ説明が出てくるだけだとして、5年以上過去にさかのぼって裏付けとなる証拠も含めて自民党として全容解明するよう迫りました。
その上で「裏金は何に使われたのか」と追及。安倍派では2019、22年の参院選の年に改選となる参院議員にはノルマを設けず、集めた全額を議員側にキックバックしていたとされているとして、「これは事実か」とただしました。
山添 裏金が選挙買収などに使われた事実はないと断言できるか。
首相 実態がどうであったか、外部の有識者の目も加えて実態を明らかにしていく。
山添 (裏金が不法行為に使われていないと)断言できないこと自体が深刻だ。
山添氏は、裏金作りに関与したすべての政治家の証人喚問を求めるとともに、岸田派でのパーティー収入の議員側への還流の仕組みについて追及。岸田首相は「緩やかな努力目標を設定し、それに対する対応と平素の派閥における活動等を勘案して、寄付という形で所属議員に交付した」と述べ、ノルマを設けて議員側に還流する仕組みを作っていたと認めました。
岸田派の22年の収入うちパーティー収入は約8割を占めます。一方、岸田派から議員側への寄付額は同年の支出の約6割に上ります。山添氏は、派閥のパーティー収入の多くが所属議員側に渡っているとして「派閥は政策集団などというが、実際には派閥の名でパーティー券を売りさばき所属議員で山分けする『集金システム』にほかならない」と指摘。そのパーティー券の主な購入者は企業・団体であり、事実上の企業・団体献金を隠す仕組みになっているとただしました。
山添 企業・団体献金はパーティーを含め全面禁止し、腐敗の根を断つべきだ。
首相 政党が(企業・団体献金の)受け取りを行うこと自体が不適切なものであるとは考えていない。
山添 企業には参政権はない。一票に託される民意ではなく、カネにものを言わせて政治をゆがめてきたのが企業・団体献金だ。
山添氏は90年代の「政治改革」で、政党助成金をつくる代わりに企業・団体献金は禁止するはずだったと指摘。それから30年、自民党が受け取った政党助成金は総額4400億円に上り、加えて企業・団体献金を受け取り続け、パーティー券で荒稼ぎし、巨額の裏金作りまでシステム化してきたとして「国民に対する二重三重の裏切りだ」と批判しました。
(しんぶん赤旗2024年1月30日付より)