「駒のように扱わないで」 スクールカウンセラー3割が「雇い止め」か

 非正規公務員として都内の公立学校に配置されるスクールカウンセラー(SC)から、3月末で「雇い止め」に遭うとの相談が、労働組合に相次いでいます。子どもたちや保護者からの悩みに寄り添いながら時間をかけて支援する人たちで、高いスキルと経験が求められる職種ですが、1年間の有期雇用となる東京都の「会計年度任用職員」として働いています。一方、今回、雇い止めに遭ったSCは5年から10数年継続して働いている人も多く、収入が断たれることへの不安とともに、子どもたちや保護者への影響を心配する声が上がっています。
心理職ユニオン 都に撤回求める

命にかかわる相談も
 「不登校だった生徒を卒業まで支えたり、自傷行為のある生徒を教員、医療機関と連携して対応している。雇用が不安定では質の高い支援はできない」
 2日、東京公務公共一般労働組合・心理職ユニオンが開いた記者会見で、当事者が訴えました。同ユニオンは現在、雇い止め撤回を求める団体交渉を都に申し入れています。
 同ユニオンには1月22日ごろから雇い止めの相談が33件寄せられています。各校のSCあてにハガキやインターネットでアンケートを行ったところ、330件の回答がありました。雇用継続を希望した勤続1年以上の人で、「不採用」または「補充任用」(事実上不採用)となり、合わせて91人(29・1%)が採用されませんでした。
 自由記述欄には、「安定した支援のニーズが子どもたち、保護者たち、学校現場にあるのに、駒のように人を変えられるのは納得がいきません」など、SCからの切実な訴えが多数寄せられています(別項)。

20分の面談不透明な評価
 会見には当事者5人が出席。「収入がなくなる私が困るだけではなく、私に相談していた子どもたちを都はどう考えるのか」「270人と面談し、子ども、保護者の命と向き合うこともある。事前の評価は高かったのに、わずか20分間の面接で不採用になり、理由は分からない。年収200万円を失うが何の保障もない」と訴えました。
 心理職ユニオンは、労働契約法で5年を超える労働者に無期労働契約への転換権が生じることを明記しているとし、同法は公務員には不適用だが、会計年度任用職員が有期雇用契約社員よりも不当に扱われることはあってはならないと指摘しています。
 原田仁希・公務公共一般書記次長は「会計年度任用職員には、更新上限をつける必要がないのに、都が上限を設けていることに問題がある。更新上限をなくして、安心して働けるようにすべきだ。都との団体交渉とともに、国に都への適切な指導を求めていく」と、今後の対応について述べました。

スクールカウンセラーとは
 児童生徒やその保護者、教職員らへの助言専門職。都では公認心理師か臨床心理士、または精神科医の資格が必要です。公立の小中学校と高校全校、都立特別支援学校に計約1500人余りを配置しています。勤務日数は1校につき年間38日、一人3校まで掛け持ちができます。
 臨床心理士の資格取得には大学卒業後に指定大学院を修了するか、臨床心理士を養成する専門職大学院を修了し資格試験に合格する必要があります。公認心理師は国家資格で、大学、大学院でそれぞれ必要な科目を履修するか、大学で必要な科目を履修後、一定期間実務経験を積むなどした後、資格試験に合格しなければなりません。

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