映画「わたしのかあさん―天使の詩―」の完成披露試写会が2日、中野区のなかのZERO小ホールで開かれ、山田火砂子監督(92)、寺島しのぶ(51)さん、常盤貴子(51)さんら出演者が舞台あいさつしました。
国内で現役最高齢の女性監督である山田監督の10作目となる映画で、知的障害のある両親に育てられる娘の成長を描きます。
落語家の春風亭昇太や小倉蒼蛙、障害当事者ら出演者とともに舞台に立った山田監督は、「福祉映画に、たくさんの有名な俳優さんが出演してくれる時代になったんだなと、本当に喜んでいます。もう一本撮ってみようかなという気になりました」と語り、会場から大きな拍手と笑いを誘いました。
山田監督は知的障害のある娘を育てた自らの人生と重ね、「健常者と障害者の真の共生社会」を目指し、多くの福祉映画を撮り続けてきました。今回の作品にも、俳優活動をしている障害者らが出演。寺島さん、常盤さんのあいさつには、出演した知的障害の子どもたちも登壇しました。
「母 小林多喜二の母の物語」(2017年)以来、山田監督のもとで2度目の主演となった寺島さん(知的障害の母、清子役)は、「多喜二の母とは違った難しさがありましたが、監督の思いに応えたいという一念でやらせてもらいました」。成長した娘の高子役を演じた常盤さんは「一人でも多くの人に、この温かい思いが伝わることを願っています」と語り、たくさんの人にこの作品の魅力を広げてほしいと呼びかけました。
劇映画『わたしのかあさん』
障害者の母への思い描く
高子の幼少期を演じた落井実結子さん(9)は、NHK大河ドラマ「光る君へ」で紫式部の幼少期を演じた子役としても注目され、「天才子役ではないか。NGは一度も出さなかった」と山田監督も絶賛。印象に残ったシーンを聞かれた落井さんは、「(お母さんに対する)気持ちが変わるきっかけはいっぱいあったけれど、雨の中、お母さんに傘を差しだしたシーンが、気持ちがしっかり変わるところだったので印象に残っています」と述べ、会場からはひときわ大きな拍手が湧きました。
映画を鑑賞した障害者施設で働いた経験のある橋向貴代さん(84)は「障害者夫婦が育てる子どもを見てきたので、大変さを理解している。映画はリアリティがあり、障害者でも親になれるし、楽しく生きていけると強く感じました」と感想を述べました。
▼都内の上映予定
○2月8日(木)練馬区 大泉学園ゆめりあホール10:30~/ 14:00~/18:30~
○2月10日(土)東村山市・東村山市立中央公民館ホール10:30~/13:30~
○2月15日(木)荒川区 サンパール荒川小ホール10:30~/14:00~
○2月27日(火)町田市 町田市民ホール13:50~
※詳しくは現代ぷろだくしょんホームページ