10市1町1村が無償化
公立小中学校の給食費の保護者負担を、区市町村が無償化・軽減した場合、その2分の1を補助する都の方針を受けて、多摩地域でも無償化に踏み出す自治体が相次いでいます。東京民報の調べによると(2月22日時点)、多摩地域では新たに7市が実施する方針で、実施済みの自治体を合わせると26市3町1村のうち、10市1町1村と4割に広がり、さらに増える見込みです。都民の世論と運動、議会での日本共産党の論戦の成果で、喜びの声が広がっています。一方、23区全てが無償化を実施するのに比べ、財政が厳しい市町村はばらつきがあり、国が実施するまでの間、東京都が全額補助してほしいとの要望が強まっています。
「都は全額補助を」
区部では、20区が年度内に小中学校の給食費を無償化、残る3区も新年度から実施する方針で、23区全てで無償化します。
市部では府中、狛江、武蔵村山の3市が2023年度中の無償化を実施(新年度未定を含む)。新たに立川、三鷹、青梅、昭島、調布、福生、西東京の7市が、新年度から無償化を実施する方針を明らかにしています。
また八王子、武蔵野両市が実施方向で検討を進めています。町田市では新規に第2子以降に、小平市は1月から実施した第3子以降の無償化を継続する方針です。
狛江市 運動と論戦が動かす
第3子以降の無償化を今年度から実施している狛江市は、3学期分の小中学校給食費を完全無償化する補正予算案を1日の臨時議会で可決しました。予算額は6638万円余で、国の物価高騰対策交付金を活用します。ただ、新年度については、未定としています。
日本共産党市議団は市民運動と結び市議会で早期実現をくり返し求めてきました。4月以降も都の2分の1補助を活用して無償化の継続を市長に求めています。市長も「対応を検討していきたい」としています。
一方、市議会では昨年3月、こまえ社会保障推進協議会が提出した「小中学校給食費の無償化を求める陳情」が自民、公明などの反対で否決され、共産党市議団が昨年9月議会に提出した完全無償化を含む予算組替え提案も自民、公明、維新などの反対で否決されています。今回完全無償化予算が提出されたのは市民の世論と運動が市政を動かしたものです。
立川市共闘市長で実現へ
立川市では昨年9月の市長選で、日本共産党、立憲民主党など野党が、立川市民連合を介して共通政策を確認し応援した酒井大史市長が誕生。政策には小学校給食の無償化が盛り込まれていましたが、都の補助を前提に中学校まで実施する意向です。
三鷹市では署名運動なども広がる中、全市立小中学校22校の学校給食を無償化するため、約7億円の経費を新年度予算に盛り込みました。都の半額補助を見込み、市の負担は約3億5000万円です。
島しょ地域8町村で実施に
島しょ地域では、神津島村と八丈町が年度中に実施し、すでに無償化している4自治体を含め9自治体中、6町村で実現。残る大島町も実施する方向。給食が未実施の小笠原村は、昼食時に提供する牛乳を無償化しています。
共産党 運動と粘り強く要求
日本共産党都議団、区市町村議員団は、署名などに取り組む住民と力を合わせ、議会論戦で繰り返し無償化を求めてきました。自民、公明両党などは、無償化を求める請願に反対し、背を向けてきました。
都議会では共産党都議団が2017年に初めて給食費補助条例を提案。それ以降、議会で毎回のように取り上げ、3度にわたる条例提案など、粘り強く実現を求めてきました(年表)。23年12月議会では、無償化条例を東京ミライ、生活者ネット、グリーンな東京と共同で無償化条例を提案。自民、公明、都民ファーストの反対多数で否決されたものの、立憲民主を含め議会の3分の1にあたる6会派41人が賛成し、共同が大きく広がりました。
こうした中、小池百合子知事が昨年12月に「給食費の負担軽減」を表明。今年1月には区市町村が行う補助のうち2分の1を都が支援する予算239億円を、24年度予算案に盛り込みました。
市町村も全額要望
共産党都議団は2分の1補助を「前進」と評価する一方、多摩格差を生むとして、全額補助を要求。実際、財政的な理由から無償化を躊躇する自治体も多く、無償化に踏み出した自治体首長からも「東京都は2分の1と言わず全額で」(大勢待利明・青梅市長)との声が上がっています。
都市長会、町村長会は来年度の都予算への最重点要望で「給食費の全額補助を国が実施するまでの間は、都が財政支援すること」を求めています。
共産党東京都委員会と都議団、区市町村議員団は2月7日、全額補助に引き上げるよう小池百合子知事宛てに申し入れました。