外苑 球場・ラグビー場 現在地で再生できる

新建築家集団

神宮球場と秩父宮ラグビー場の現在地再生提案の発表会=10日、都内

 神宮球場と秩父宮ラグビー場の位置を入れ替えて新規建設する計画にスポーツ関係者の批判が高まっている神宮外苑再開発で、建築や街づくりの専門家らでつくる新建築家技術者集団東京支部は10日、「ラグビー場と神宮球場は現在地で再生可能」とする提案の発表会を都内で開きました。

 外苑再開発は樹木数千本を伐採・移植し、超高層ビル3棟を建設する計画。新ラグビー場建設では、希少なヒトツバタゴの群落が生息する「建国記念文庫の森」の3分の2を伐採し、新球場建設ではイチョウ並木18本を「移植検討」としています。

 発表会では1級建築士の柳澤泰博、小林良雄両氏が報告。柳澤氏はラグビー場について「耐震基準は満たしており、適切な部分的改修を行えば十分使用できる」と強調しました。屋根で覆われる新ラグビー場を「ラグビーは雨風の中でも行うスポーツ。屋根の下、室内で行うことになれば本来の姿が失われる。観客収容数も現ラグビー場を大きく下回る」と指摘しました。

 小林氏は神宮球場について「事業者は『現球場ではバリアフリー化が困難』などとするが、エレベーターの設置は可能」と述べました。イチョウ並木18本の「移植検討」だけでなく、近接して新球場を建設することでイチョウ並木が衰弱・枯死する危険があると指摘し、「建て替えで多大な二酸化炭素も排出し、SDGs(持続可能な開発目標)に逆行する」としました。

 参加者が「神宮球場愛好者として新球場見直しを訴えてきた。専門家の裏付けある提案は心強い」などと発言。日本共産党の曽根はじめ都議も「都議会で、建国記念文庫の森など樹木を守るよう求めている。今回の提案はイコモスと同じように樹木と景観を守る重要な提案」と語りました。

(「しんぶん赤旗」2024年4月12日付より)

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