都立高校の入試に活用してきた中学校英語スピーキングテスト(ESAT―J)を中学1・2年生にも実施することに反対する、春の市民大集会が4月19日、都議会内で開かれ、約80人が参加しました。「都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会」、テストに反対する保護者の会や超党派都議でつくる議員連盟が主催しました。
春の市民集会開く
議連副会長の竹井ようこ都議(立民)が、「長いたたかいとなっているが、あきらめずに声を上げ続けていく」とあいさつ。「入試改革を考える会」代表で武蔵大学の大内裕和教授がこの間の運動の経緯と成果を紹介しました。
都が実施する中学校英語スピーキングテストを巡っては2022年度、多くの専門家や都民が試験の実施方法や採点、個人情報の取り扱いなどで公正性・公平性、透明性などに問題があるとして反対する中、出版大手のベネッセコーポレーションによって公立中学校3年生全員を対象に実施を強行。
他の受験生が解答する音声がヘッドホン越しに聞こえたり、他人の解答音声が混ざって録音される「音漏れ」問題、不受験者に他の生徒の平均点から算出した点数が与えられる問題、100点分の得点を20点に換算することで生じる矛盾など、多くの問題が噴出しました。
ところが都教委は調査要望を無視し、改善もせずに23年度から対象を中学1・2年生にも拡大し、撤退したベネッセに代わりブリティッシュ・カウンシルと契約。24年度から中学全学年で運営し、6年間210億円で協定を結んだことも明らかになっています。
大内氏は「英語や教育学の専門家と教育現場、市民による広範なつながりの運動が形成され、都議会では議連もつくられた。都民と議員の共闘はベネッセ撤退の要因の一つになった。他道府県への入試活用拡大も防いだ」と一連の運動の発展と成果を強調。そのうえで、「中止を実現するには運動をいっそう広げていくことが必要だ」と述べました。
中学校で英語を教え、英スピテストの試験監督も務めた女性は「わずか9分の試験のために全校体制で準備をしたが、音漏れは前提で実施しているとしか思えない。生徒のくしゃみが録音され、間違っていても声が大きな生徒の解答に周りの生徒が影響を受けている」と告発しました。
中学2年生の保護者は「周りの生徒が解答する声が聞こえ、答え合わせをしながら解答することもできたといっている。意図しなくてもカンニングできてしまう欠陥だらけのテストに、1年で40億円以上の税金を投入するぐらいなら、教員を増やすなど、もっと英語力が向上するところに税金を使ってほしい」と訴えました。
議連に参加する共産党、立憲民主、ミライ会議、グリーンな東京、生活者ネットの都議が紹介され、議会論戦について報告。議連事務局長の、とや英津子都議(共産党)は「都教委はルールを無視して、ブリティッシュ・カウンシルと6年間210億円で契約した。これだけの予算があれば英語の先生を十分に増やすことができる。都政を変えるしかない」と述べました。