山添氏、政権延命の意図批判 NHK番組
日本共産党の山添拓政策委員長は3日のNHK番組「憲法記念日特集」に出演しました。自民・公明両党に加え、補完勢力の日本維新の会と国民民主党の代表が明文改憲へ前のめりの姿勢を示したのに対し、「世論に逆行して国会が改憲ありきで進むべきではない」と批判しました。
山添氏は「総裁任期中に改憲を実現したい」という岸田文雄首相の発言に触れ、「内閣支持率が下がる中で改憲をアピールして求心力を確保したいという意図が見え隠れする。政権延命のための政治利用だ」と厳しく批判しました。国会に求められているのは裏金事件の全容解明であり「法律を守れない方に改憲を語る資格はない」と主張しました。
自民党の加藤勝信・憲法改正実現本部事務総長は「具体的な条文をイメージしながら議論を深く掘り下げていく」と述べたほか、「条項のたたき台を作り、より深い議論をする」(公明党・北側一雄副代表)、「一刻も早く条文を起草する起草委員会を発足するべきだ」(維新の会・音喜多駿政務調査会長)など、改憲発議に向けた議論をすすめる発言が相次ぎました。
自民党が緊急事態での議員の任期延長などについて条文案作成を提案していることを巡り、山添氏は「裏金問題を抱えて説明もない議員が改憲を発議し、任期延長ができるようにしていくことにもなりかねない」と批判。緊急時の対応をめぐり、能登半島地震後4カ月が経過しても「いまだに自宅の蛇口をひねっても水が出ないという実態がある」と指摘し、改憲ではなく「国会も行政も機能できてもこういう状況が長く続いている。この事態にどう対応すべきかを議論するべきだ」と強調しました。
立憲民主党の逢坂誠二代表代行・憲法調査会長は国民投票法制の議論が不十分だとして「条文化を急ぐのは順序が逆だ」と述べました。
9条改憲について山添氏は、岸田政権が敵基地攻撃能力の保有、軍事費の国内総生産(GDP)比2%への増額、殺傷兵器の輸出解禁など「憲法に基づく平和国家だからできないとしてきたことを次々踏み破っている」と批判しました。
「徹底した外交で戦争させないのが政治の責任だ」として、共産党が示した「東アジアの平和構築への提言」を紹介。「排除ではなく、地域のすべての国を包摂する枠組みで対話と協力を進めていくというASEAN(東南アジア諸国連合)の取り組みに日本も学び、平和の枠組みを発展させていく外交戦略が必要だ」と訴えました。
同性婚を巡って山添氏は、憲法24条1項が同性婚も保証するとした札幌高裁判決を画期的判決と評価し、憲法13条の「個人の尊重」は誰もが幸せに生きる権利を持っているということだと述べ「その実現には社会的な制度の保証が必要だ」と主張。「法律が邪魔している以上、国会の対応が問われる。同性婚も保証する法改正は直ちに進めるべきだ」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2024年5月4日付より)