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はばたけパリへ パラ初舞台でメダルを

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 「お水をふわっとかくように、いいよ。膝を閉じながら蹴るんだよ。今のはいいキックだ」―コーチの掛け声がプールサイドに響きます。アドバイスに呼応してフォームを修正しながら泳ぐのは、パリパラリンピック(今年8月)の推薦選手枠を初めて手中に収めた村上舜也選手(29歳=中央区出身・NECフレンドリースタフ所属)。183㌢の長身と長いリーチを生かしたダイナミックな泳ぎが圧巻です。「自分自身に負けず、自分の限界突破に向けて練習する」プールを、訪ねました。

中央区出身 村上舜也選手
 村上選手は今年1月からNECフレンドリースタフに務める社会人スイマーになり、週に5日の練習をこなしています。1回2時間の朝練習を週5日、さらに木・金曜日は午後にも1時間ずつ、週に7回の練習に励みながら、パリパラリンピックを視野に奮闘中。練習以外の時間はNEC府中事業所で仕事をする日々を過ごしています。
 大変ではないかと尋ねると、「お仕事は楽しいです。集中してやれています。水泳を知らない人と接する大切な機会で、応援されてやる気がでました。社食も素晴らしい」と笑います。
 「28歳からベストタイムが上がってきています。まだまだ伸びます」と語るのは、村上選手を指導する河合大輔コーチ。これまで3人の知的障害があるスイマーを指導してきた経験の持ち主です。「障害があるといっても三者三様です。障害があるというより、個性だと思って接しています」と微笑みます。
 さらに「水泳界も変わってきています。いわゆる体育会系の声を張り上げるような指導は時代にそぐいません。選手に合わせて抽象的ではなく、理論的にわかりやすく伝えるようにしています。それは障害の有無に関係はありません」と続けます。
 50㍍を泳ぐたびに「何秒だった」とタイムを気にする村上選手に、タイムとよくできた点を伝えた後に修正点を指摘する河合コーチ。二人の間が信頼関係でしっかりと結ばれている様子がわかります。

ベストな結果残したい
 練習にやってきた子どもたちが村上選手を囲みました。河合コーチが「このお兄さん、パリパラリンピックに出る選手なんだよ。パラリンピアンだ」と声をかけると、「すごーい」と歓声があがりました。「テレビに映るの」「絶対見るね」との声に、村上選手が「ありがとうございます。頑張ります」とはにかみます。
 母親の真紀さんは「知的障害のある子は自分を内観して意識するのが難しいので、それをしながら泳ぐのは疲れると思います。これまで力まかせに泳いでいたのが、フォームを意識して泳げるようになったのは河合コーチと練習するようになってからです」と話します。
 「集中して頑張ってパリパラリンピックのメダルを取りたい。そのために無駄なことはしたくない」と語る村上選手が水泳と出会ったのは5歳の頃で、競泳選手だった真紀さんの勧めでした。以来、地元のスイミングクラブで練習してきました。
 高校2年生の時に障害者水泳連盟のレースに出場するようになり、高校3年生で初めてメダルを手にしました。以来、スイマーとしてのキャリアを積み重ね、コロナ禍でプールの練習が困難な際は親子で筋トレなどに励んできたといいます。
 さらなる高みを目指して東京パラリンピック以降の2年半は、河合コーチに師事しメキメキと頭角を現しました。
 真紀さんの作る鶏のから揚げが大好きで、1回に1㌔㌘以上をたいらげるという村上選手。自由形とバタフライを得意としています。「河合コーチの指導はわかりやすいです。レースの時はイメージ通りに泳ぐだけ。フォームを修正してベストな結果を残したい」と、パリパラリンピックでのメダル獲得に向けてスタートをきっています。

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