気候危機は人権問題

❚ 山添氏 CCS固執を批判

 山添拓議員は23日の参院外交防衛委員会で、二酸化炭素(CO2)を海底下で地層処分するCCS(二酸化炭素貯留)事業のためにCO2の輸出を可能にするロンドン条約議定書改定は「脱炭素の切り札とは言い難い」として、石炭火力発電の廃止期限を示さず、その延命のため同事業に固執する政府の姿勢を批判し、受諾の承認に反対しました。

 山添氏は、CCSについて世界で唯一稼働しているカナダの火力発電所が2021年に27・5%しかCO2を回収しておらず、「未確立の技術であることを示している」と指摘。CCSにこだわれば「国内で脱炭素を遅らせ、進出を計画する東南アジアの脱炭素化を阻害することになる」と警告しました。

 上川陽子外相は「CCSはCO2の大気中への放出を抑制する有効策の一つと広く認識されている」と答弁。山添氏は「気候変動対策に残された時間が短いのに悠長だ。最も有効なのは化石燃料からの脱却だ。投資は再エネに振り向けるべきだ」と主張しました。

 山添氏は、欧州人権裁判所が先月、スイス市民の訴えに同政府の気候変動対策が不十分なのは人権侵害だと判示し、22年7月に国連総会が環境権は人権だと認める決議を採択したと紹介。「環境に対する権利を人権の問題としてとらえることは大事な視点ではないか」とただしました。上川外相は「決議の大きな趣旨に照らして日本も向き合いたい」と述べました。

 山添氏は「気候危機を人権問題ととらえるべきだ。石炭火発の延命という逆行をやめ気候危機打開を図るべきだ」と強調しました。

(しんぶん赤旗2024年5月27日付より)

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