衆院厚労委で全会一致採択 宮本徹氏質疑
衆院厚生労働委員会は29日、国の誤ったハンセン病隔離政策によって深刻な差別を受けた元患者家族に対する補償金の請求期限を5年延長するハンセン病家族補償法改正案を起草し、全会一致で採択しました。
2019年11月施行の同法は、元患者の親や子、配偶者に180万円、きょうだいや孫らに130万円を支給するとし、請求期限を施行から5年以内としていました。厚生労働省は当初、支給対象を約2万4000人と想定していましたが、今年4月時点の申請者数は8394人、認定されたのは8144人にとどまるなど、多くの未請求者が残されており、法改正で請求期限を5年延長します。
また、補償金支給の効果的な広報を行うことや、国の隔離政策による差別と偏見について「改めて深くおわびする」とし、偏見差別解消策や差別被害救済策の充実に努力するとする決議も全会一致で採択しました。
日本共産党の宮本徹議員は質疑で、ハンセン病療養所の職員が減る中、女性入所者の着替えや入浴の介助を男性が行ったり、入所者が転居を強いられたりしている状況があり、「ハンセン病基本法改正で加えられた医療・介護体制の充実に反する事態が生じている」と指摘。職員確保や医療・介護体制の充実を求めました。
武見敬三厚労相は「入所者の療養環境の充実のために必要な人員の確保に取り組む」と答弁。宮本氏は「国には入所者が尊厳を持って生活を送れるようにする責任がある」と強調しました。
(「しんぶん赤旗」2024年5月30日付より)