都知事選・都議補選どう臨む 田辺良彦・都委員長に聞く

都政転換で自民政治に審判 暮らし応援の希望の東京へ

 東京都知事選(20日告示・7月7日投票)と、同日投票(28日告示)の都議補選を前に、日本共産党東京都委員会は5月23日、「都知事選・都議補選アピール」を発表し、同月27日には蓮舫参院議員(立憲民主党)が無所属での立候補を表明しました。
 この選挙にどう臨むのかを田辺良彦都委員長に聞きました。(畑野孝明)

都政転換で自民政治に審判 暮らし応援の希望の東京へ

 「アピール」では、共産党として考える小池百合子都政の問題点、その転換の方向を明らかにしました。知事選でも都議補選でも大いに訴えていきたい。

【都委員会アピール】東京都知事選・都議補選にむけて

蓮舫氏は最強・最良の候補者

東京都知事選への立候補を決意し、あいさつする立憲民主党の蓮舫参院議員=5月27日、衆院第1議員会館(しんぶん赤旗提供)

 「アピール」発表後の大きな出来事は、蓮舫氏の出馬表明です。市民と野党の候補者選定委員会で2月から検討を重ねてきましたが、多くのメンバーが「最強・最良」と思っていたのが蓮舫氏です。私としても率直にうれしい。大歓迎です。

 出馬表明の会見では、裏金自民党の延命に手を貸す小池都政をリセットすると明言しました。この表明は、「アピール」の中心的押し出しと合致します。

 印象深かったことの一つは、都庁舎壁面などをスクリーンにし映像を投影するプロジェクションマッピング(PM)について、「こうした予算を見直して、格差で光が当たらない、困っている人たちに、私は政策を届けたい。仕事を、食べ物を、安心を、子どもたちには教育の充実を届ける」と話したこと。神宮外苑再開発の見直しなどにも触れました。私たちの言葉で言えば、一部の大企業優先の都政から、都民の暮らしを応援する都政への転換です。それを蓮舫氏なりの言葉で伝えてくれていて、心強いし、うれしいですね。

日本の政治のゆくえ、都民の命と暮らしがかかった選挙

 蓮舫氏も出馬会見で触れていたことですが、小池知事は反自民を掲げてスタートしましたが、あっという間にその旗は投げ捨てられ、どんどん自民党に接近してきました。自民党に頼り頼られる関係にならざるを得ないところまで追い詰められているのです。

 今年の都議会第1回定例会で、予算に賛成したのは、自公、都民ファーストだけになりました。5月の目黒区の都議補選で、小池氏は自民党候補のポスターに応援シールを貼り、応援ビデオメッセージまでつくって支援しました。都議会論戦で共産党が裏金問題を追及しても、答弁で絶対に「企業・団体献金禁止」を言わない態度を繰り返しました。

 有権者の意識も変わってきています。ある世論調査では小池知事支持が4年前の約70%から半減し、「小池都政の継続を望まない」が42%で、「望む」を大きく上回っています。4年前とは明らかに違う状況だと言えます。

 自民党と二人三脚の小池都政の転換は、自民党政治への審判になります。日本全体に大激震が起き、巨大なうねりになる。そういう選挙にしていきたい。

新しい都知事誕生で都政の抜本的転換を

田辺都委員長(しんぶん赤旗提供)

 小池都政の最大の問題点は、暮らしへの無関心。国際競争力優先で、地球環境にも住民の生活環境にもお構いなし。大企業の目先の利益優先の都政です。この流れは石原都政から顕著ですが、小池都政になってさらに加速しました。

 「アピール」は暮らしの問題で、高齢者問題とともに、若者や現役世代の声を特に重視しました。教育費負担も大変。家賃が高いので子どもができたら住み続けることができなくなっている。「『稼ぐ東京』もいいけど住めるようにしてほしい」「企業がもうかっても人が住めなきゃしょうがない」などの声を反映しました。

 都には金はものすごくあるんです。スウェーデンの国家予算並みの16・5兆円なので、35人学級や給食費の全額都負担、国民健康保険料の減免、都営住宅の新規建設など、共産党都議団が予算組み替え提案した121項目全部を実施しても、一般会計予算の3・8%です。都政を変えればできる。そういう希望を語っていきたい。

 大型開発の問題では、その典型例として神宮外苑再開発を挙げました。「稼ぐ東京」の象徴です。蓮舫氏も会見で、まず都民の声を聞いて判断すると表明しています。いっしょに食い止めていきたい。

 PMもひどい話なんです。党都議団がつっこんで質問し明らかにしました。2年間で予算48億5千万円の事業です。運営主体の実行委員会には電通などが入り、電通のグループ会社などに事業委託しています。電通は五輪談合で入札指名停止になっているのに、実行委員会の事業という形で参加し、都の大金を流し込んでいます。

 一方で都庁前には5月末、食料支援を求めて800人が並びました。こんなに貧困と格差が広がっているのにPMに一日1000万円もの大金を使っている場合か。これも小池都政の象徴です。蓮舫氏は1日に都庁前で実際に現場を訪問しました。

 蓮舫氏は、人権の問題も重視しています。関東大震災の朝鮮人虐殺問題でも「朝鮮人虐殺は大変大きな問題。公約する時にぜひみなさんに訴えたい」と会見で話しています。

都政を動かしてきた都民の運動と日本共産党都議団

 都民世論と運動、共産党都議団の論戦、都議会の野党の共闘は都政を大きく動かしてきました。

 たとえば学校給食費の無償化問題。共産党都議団は無償化を繰り返し求めてきましたが、小池知事は「国の責任」「法律で保護者負担と決まっている」「区市町村が決めるもの」と言い続けてきました。昨年12月の都議会でも、共産党都議団が共同提案した「無償化条例案」を自民・公明・都ファが否決しました。その後、小池知事が態度を変え、無償化する自治体に都が半額支援することになったのです。党都議団は「2分の1支援では、財政力の弱い自治体が無料化できない」と全額補助を要求しています。選挙を前に自民党も半額支援では足りないと言い始めています。

 共産党都議団は野党第1党の19議席を生かして、積極的提案を次々行い、他会派とも共同して都政を動かしています。都議補選で議席が増えればさらに大きな力を発揮できる。「真剣勝負」でたたかいます。

(しんぶん赤旗2024年6月4日付より)

タイトルとURLをコピーしました