破格の“開発業者ファースト”
東京都の元都市整備局長ら14人の幹部を受け入れ再開発事業を手掛けている三井不動産グループ。小池百合子知事は2016年の就任直後に、三井不動産レジデンシャルを代表企業とする大手不動産11社と破格値で都有地の売却契約を結んでいます。小池知事の「都民ファースト」ではなく「大手不動産ファースト」の「実績」をみてみます。(岡部裕三=ジャーナリスト)
問題の都有地は中央区晴海にあり、東京ドームの2・9倍にあたる13・4ヘクタールの広さです。五輪選手村整備の名目で、近隣地価の9割引き、129億6000万円で大手不動産に売却契約が結ばれました。「都有地9割引きは違法。都政版森友事件だ」と怒った都民33人が翌年、都財政に1000億円余の損失を発生させた小池知事、舛添要一前知事らに損害賠償を求める住民訴訟を起こしました。
小池知事が23年に認可した神宮外苑再開発事業の施行者も三井不動産です。樹齢100年を超えるイチョウ並木など樹木を大量伐採する計画に、都民が訴訟を起こし文化人、専門家が相次いで反対の声をあげました。
ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関「イコモス」(国際記念物遺跡会議)が「比類のない文化遺産の危機」と警告、計画撤回を求めたにもかかわらず三井側は拒否しました。小池知事も「ネガティブキャンペーン」だと反対住民を非難。「都は三井言いなりじゃないか」の声が高まっています。
都心一等地たたき売り
都幹部の不動産業界への天下りは、大型開発や東京五輪招致、お台場カジノ構想を打ち出した石原慎太郎知事時代から増えはじめ、大型開発とカジノ検討に固執する小池都政下でも続いています。
都にカジノを強く要望してきたのがフジテレビ・三井不動産グループと森ビルです。
都有地処分価格を審査する財産価格審議会の所管局、財務局元部長は怒ります。
「小池知事の都市政策はでたらめだ。財価審に諮らず都心の一等地を1平方メートルあたり10万円以下で不動産会社にたたき売りし、晴海フラッグは投機マンションになった。選手村用地は売らずに公的住宅を建てれば都民から歓迎されたはず。検察に告発してもおかしくない事案だ」
「東京大改革を進める」と12日に表明した小池知事。まず改革すべきは、都民に冷たい「デベロッパーファースト都政」の転換です。
(「しんぶん赤旗」2024年6月16日付より)