重い負担 値上げで生活苦いっそう
国民健康保険料(税)の大幅値上げが加入者の暮らしを追い詰めています。東京都では総人口の約2割、二百数十万人が国保に加入していますが、今年度、東京都内では62区市町村中47区市町村が値上げしました。(東京都・川井亮)
豊島区では、年収240万円の40歳未満単身者の国保料は年20万円と、1カ月分の収入がなくなる重い負担となっています。
日本共産党政策委員会が行った国保料(税)の推移の試算では、小池百合子知事が就任する前に決められた2016年度と今年度とを比べると、特別区(独自に料率を定めている千代田・中野・江戸川3区を除く20区)では給与年収240万円の40歳未満単身者の場合、15万円から20万円へと33%もの値上げになりました。
45%の値上げも
給与年収400万円(40歳未満)の4人世帯では、39・2万円から53・0万円へと35%もの値上げで、1カ月半の収入が国保料で吹き飛ぶ計算になります。江戸川区では56・8万円へと45%もの値上げとなり、今年度は全国で最も高い国保料(税)となる見込みです。
被雇用者が加入する協会けんぽの場合、東京都の保険料率は今年度、40歳未満で9・98%(労使折半4・49%)となっており、年収240万円の人の保険料額は約12万円、年収400万円の場合でも年額約20万円です。
国保はもともと、協会けんぽや組合健保など他の公的医療保険と比べて重い保険料負担となっています。国保は非正規労働者や自営業者、高齢者など所得が低い加入者が多く、国保料(税)の重い負担は生活苦をいっそう深刻にさせるものです。
各地の住民団体の運動や共産党議員団などの論戦を受けて、大部分の区市町村は国保料(税)の値上げ幅を抑えるため、一般会計から国保会計に対する独自の繰り入れを行ってきました。
区市町村に圧力
しかし、都は今年2月に策定した24~29年度の国保運営方針で、東京全体で保険料の統一化を推し進めることを明記。そのため、各自治体独自繰り入れを「解消・削減すべき赤字」として計画的に解消し、新たに独自繰り入れを行う場合も原則単年度で解消するよう、区市町村に求めました。独自繰り入れの解消は国保料(税)の大幅値上げにつながります。
6月4日の都議会代表質問では共産党の米倉春奈都議が「都が区市町村に900億円の財政支援をすれば、国保料を1人当たり3万円引き下げた上、子どもの均等割保険料を0円にできる」と述べ、国保料(税)の負担軽減に踏み出すよう迫りました。
小池知事は「保険料・税の賦課方式・料率は、住民の暮らし向きを踏まえながら区市町村が自ら定めるもの」と冷淡な態度を示しました。
(しんぶん赤旗2024年6月17日付より)