水道「停止」都内で急増

共産党都議団追及 小池知事 答弁立たず 蓮舫候補「看過できない」

 生命にかかわり、「公衆衛生の向上」の役割をも担う水道事業。東京都では2022年度以降、水道料金が支払えず供給を停止される件数が急増しています。都議会では、日本共産党議員団がこの問題を複数回取り上げてきました。これに対し小池百合子知事は答弁に立たないなど、「逃げ」の姿勢。東京都知事選(7日投票)で蓮舫候補が「看過できない」と取り上げるなど、争点として急浮上しています。(嘉藤敬佑)

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水道の供給停止は生命にも関わる問題

 東京都水道局は21年度まで、検針員が水道料金未払い宅を複数回にわたって訪問し、生活困窮の実態などを把握。分割支払いなどを提案し少しでも水道料金を支払ってもらうことで、供給停止も回避してきました。福祉行政につなぐ役割も維持してきました。

 22年度以降は「業務効率化」として、郵送のみの催告に切り替えました。これがひとつの原因となって、供給停止件数は、21年度の約10万5千件から、22年度には約18万件へと急増しました。

 都水道局の担当者によると、訪問催告の中止を含めた契約見直しで、年間約7億円の経費を削減しました。供給停止が急増した理由については「訪問から郵送に切り替わったことで、(支払いの)タイミングを逸した可能性がある」と説明。「大半の人は、停止するとすぐ支払う」と述べました。

命にかかわる

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 都議会では、日本共産党の斉藤まりこ都議が「供給停止は命にかかわる問題」と追及(23年11月15日、公営企業会計決算特別委)。小池知事は出席しながら答弁には一切立たず、水道局長が回答しました。

 この場で水道局長は「不断の経営努力により、強固な経営基盤を確立」と答弁。斉藤都議は、水道事業の本来の目的は「公共の福祉の増進」と指摘しました。

 共産党都議団は、生活ひっ迫による滞納を減らし、給水停止を回避するため、料金の減免を求めてきました。都側は「拡充については慎重に考える」などと後ろ向きです。

 水道事業の根拠法のひとつである地方公営企業法は、地方公共団体の長は、福祉を確保するため必要があるときは、業務の執行について必要な指示をすることができると規定しています。

責任は知事に

 福手ゆう子都議は「水道供給を止めて支払わせるやり方は、行政としては許されない」と話します。また、小池知事が答弁に立たなかったことに「都民の暮らしに関心がないと言わざるを得ない」と批判。「『水』をどうするか、最終責任は知事にある」と強調しました。

 東京都生活と健康を守る会連合会の阿久津豊事務局長は「命にかかわる水を止めることがあってはならない。払えないから自動的に止める、というのではなく、いろいろな手だてを尽くして生活を守ることこそしないといけない」と話します。「東京都として、一人一人を見守る制度づくりを」と求めました。

 蓮舫候補は街頭演説で、この問題を「看過できないので調べる」と表明しました。

(「しんぶん赤旗」2024年7月3付赤旗より)

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