カジノ誘致を都に要望 森ビル
東京都心で複数の大規模再開発を進め、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)の誘致を都に要望している大手開発業者「森ビル」(東京都港区)に、東京都局長級6人が天下っていたことが2日までに、分かりました。いずれも市街地再開発事業を所管する都市整備局の出身です。(岡部裕三=ジャーナリスト)
森ビルに天下りした都幹部6人は、特別顧問や顧問の待遇です。いずれも都を退職した後に、都関連団体などへの再就職を経て、森ビルに渡っていました。
森ビルは港区でアークヒルズ、六本木ヒルズ、虎ノ門ヒルズ、麻布台ヒルズなど超高層ビルを含む大型再開発を手掛け、地元住民を追い出してきました。2023年に開業した麻布台ヒルズは、最上階マンションの分譲価格が最高200億円と超高額。「国内外の大企業や超富裕層のための再開発だ」と批判があがっています。
国と都は森ビルなどでの再開発事業で、容積率の大幅上乗せ優遇措置を講じました。都はさらに、再開発プランの策定調査も委託してきました。
なかでも問題になったのが、築地市場の豊洲移転を前提にして都が同社にひそかに委託した「築地市場移転後の用地開発に係る調査報告書」(12年作成)です。情報開示請求で入手した黒塗り報告書は、築地市場跡地をオフィス中心型、複合型、住宅中心型を柱にした再開発プランを都に提案していました。
また森ビルは、IRの誘致をしつこく都へ要望してきました。16年から18年にかけて、森ビルやフジテレビ・三井不動産グループは、IR誘致を含む各2件の開発計画提案書を小池百合子都政に提出しています。
小池都政が設置した臨海部再開発の「東京ベイエリアビジョン」を検討した官民連携チームにも、森ビル、三井不動産は民間代表として参加。同チームは19年、臨海副都心にMICE(国際会議場・展示場)・IRの整備を都に提案しています。
カジノに詳しい都幹部は「森ビルとフジグループはカジノ誘致に熱心だった。海外のIR事業者と打ち合わせをして、奇抜なプランも提案してきた」と話します。
森ビルに天下りした東京都局長級6人
(1)建設局道路監(森ビル特別顧問)
(2)東京都技監・都市計画局長(森ビル特別顧問)
(3)都市整備局理事(森ビル顧問)
(4)都市整備局技監(森ビル特別顧問)
(5)都市整備局技監(森ビル顧問)
(6)主税局長(森ビル特別顧問)
(「しんぶん赤旗」2024年7月3日付より)