数字が示した共闘の力 「逃げた票」に根拠なし

都知事選 都議補選
 「連合」の芳野友子会長が都知事選で蓮舫候補が3位にとどまったことに関連して、「共産党が前面に出すぎ、逃げてしまった票があったのではないか」と発言(11日)し、立憲民主党に共産党との連携見直しを迫ったと報道されています。現実はどうなのか―。

 「何を根拠に『票が逃げた』というのか。根拠を示してほしい」。日本共産党の小池晃書記局長は11日の記者会見で、芳野会長の発言を厳しく批判しました。
 蓮舫選対で指揮にあたった立民の手塚仁雄都連幹事長が選挙直後に「共産の皆さんには感謝の思い以外、一切ない」と語り、長妻昭都連会長も11日の会見で「私はそういう考えではない」と明言。また岡田克也立民幹事長も9日の記者会見で共産党との連携が「足を引っ張ったとは思っていない」と述べています。
 小池氏は立民幹部のこうした一連の発言をあげたうえで、「選挙をたたかった人たちは共通して芳野氏とはまったく違う見方だ」と指摘。さらに、蓮舫氏自身が開票日の会見で「共産党をはじめ多くの方の力をいただいたのは私の財産」と語り、市民連合の菱山南帆子さんがX(旧ツイッター)で「今回の応援弁士、ほとんど立憲の国会議員や都議ばかりだった。共産党の人たちはビラまきばかりしてたよ」と述べていることも紹介。
 その上で「『共産党が前に出すぎて票が逃げた』というような選挙では全くなかった。何の根拠も示さずに、共産党のせいにすれば何でも通用するというレベルの低い発言だ」と強調。「だいたい連合東京は小池百合子氏を『支持』したではないか。対立候補を応援された方に、とやかく言われる筋合いではない」と述べました。

小池知事から74万票「逃げる」
 蓮舫氏は市民と野党の共闘の強い願いに応えて立候補を決意。得票は128万3262票(得票率18・81%)、291万票余りを獲得した小池百合子氏には大きな距離はありました。しかし4年前に市民と野党の共同候補で出馬した宇都宮健児氏の得票84万票(同13・76%)に比べると、得票数で1・52倍、得票率も5・05%の前進で、3位とはいえ大健闘でした。
 一方、連合東京が支持した小池百合子知事は、前回より74万3356票を減らし、得票率は59・7%から42・8%へと16・9%も下落する結果でした。そもそも芳野氏は「逃げた票」について「とやかく言う」相手を、180度取り違えています。

示されたのは共闘の前進と力
 蓮舫氏を支援したのは政党では共産党、立憲民主党、社民党の国政野党のほか、都議会に議席をもつ生活者ネット、グリーンな東京(みどりの党)、ミライ会議も加わり、これまでにない幅広い共闘関係が築かれました。
 背景には神宮外苑再開発の見直しや学校給食費無償化、英語スピーキングテストの都立高校入試活用反対、朝鮮学校の補助金復活など、「財界ファースト」で都民の暮らしに冷たい小池都政のもとで広がった都民運動があり、それがまた都議会でのこれまでにない共闘の画期的な前進にもつながったことがあります。

自民は2勝6敗 補選で共闘効果
 共闘の効果が、よりはっきり示されたのは、政党間の争いとなる都議補選でした。9選挙区(いずれも欠員1)で行われ、自民党は4議席を目標に8選挙区に擁立しましたが、結果は2勝6敗。
 裏金事件の弁明もせず、都連会長の役職も辞めずにいる萩生田光一衆院議員の地元、八王子市では共産、立民とも擁立しなかったことで、無所属前職が自民新人を破って当選。
 共産党が候補を立てず、立憲と自民党が一騎打ちとなった足立区でも、立憲の新人候補が3年前の都議選の同党と共産党の合計得票の2・4倍で当選。他の選挙区も両党の競合が避けられ、板橋区では日本共産党の竹内愛氏が前回より両党合計の1・1倍、府中市では共産党が支援した甲田直己氏が前回共産票の1・9倍と大幅に得票を伸ばしています(グラフ)。
 小池氏は会見で「野党が力を合わせる効果は、都議補選で特にはっきりした」と指摘したように、「票が逃げる」どころか、事実は1+1が2以上の結果をもたらしています。「市民と野党の共闘」に脅威を覚える勢力は、共闘に何とか亀裂を入れようと、共産党攻撃に躍起になっているのではないでしょうか。

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