新型コロナウイルスの感染拡大の第11波と言われるほど感染が深刻化しています。東京都が毎週金曜日に発表する定点医療機関(都内419カ所)での患者報告数(1週間の1医療機関あたりの感染者数)は7月21日までの1週間は8・50人で、前週の1・12倍、11週連続で増加しています(グラフ)。厚生労働省は全国の流行状況について「増加傾向が続いており、これまでもお盆明けが感染拡大のピークだったことを踏まえると今後も感染者が増えることが見込まれる」として、対策を呼びかけています。
共産党都議団が申し入れ
東京都医師会の尾﨑治夫会長は7月16日の定例記者会見で都内の感染状況の見通しについて、「8~9月がより多く感染者が出るのではないか」と予測。感染力がこれまで以上に強い変異株(kp・3)の流行や、多くの若者がマスクをしていない状況をあげて、高齢者への影響を指摘しました。
その上で「感染を早めに診断しても、コロナ薬が高価なためにがまんし、重症化する人が増えるのではないか」と危惧。夏の感染状況が深刻な時だけでも、国や都が3000~5000円ぐらいの自己負担になるよう対策を要望。さらに秋の定期接種についても新型コロナワクチンの自己負担を軽減し、インフルエンザと一緒に打てるよう体制をとってほしいと述べています。
検査・治療等 自己負担軽減を
こうした中、日本共産党都議団と東京都委員会新型コロナ感染症対策本部(本部長=坂井和歌子衆院比例予定候補)は7月25日、新型コロナ感染症から都民の命と医療を守るための緊急申し入れを小池知事宛てに行いました。感染者が増加する中、入院患者数も1月の第10波のピークと同程度となり、入院を断られるケースも出ています。
内容は▽感染拡大や高齢者施設等でのクラスター発生、医療機関のひっ迫などの状況や、マスク着用などの感染防止対策の効果などについて、都として積極的に発信する▽高齢者施設や障害者施設での集中的検査の再開▽新型コロナ治療薬の自己負担への助成を行うよう国に求め、都としての助成実施▽コロナワクチンの自己負担への補助▽コロナ後遺症の相談窓口設置▽コロナ患者の入院を受け入れる医療機関への謝金の支払い▽民間医療機関では受け入れが困難なコロナ患者を都立病院で積極的に受け入れる―の7項目。
谷川智行氏(医師・衆院比例予定候補)は「診療している人の陽性率は3~5割で、ものすごい勢いで増えている。政府のコロナ禍は終わったというメッセージが大きく、症状があっても受診や検査をしない人も多く、実際にはもっと感染者は多いのではないか」と指摘。「治療薬の大きな自己負担であきらめる人も多く、持病の悪化や重症化すると医療機関の負担も大きくなる。国に治療薬の負担軽減を求めてほしい。後遺症で生活に絶望している人からの相談も多いので、都として相談窓口をつくり周知してほしい」と訴えました。
原のり子都議は「コロナ関連で身近で2人が亡くなっている。通所施設に通っていた障害者は6月に感染して1カ月で亡くなった。安易にかかっていい感染症ではないと発信し、施設での検査の支援を復活させてほしい」と求めました。
今年3月31日までは高齢者施設等での集中的検査や治療薬の自己負担軽減、診療報酬の特例の経過措置、高齢者等医療支援型施設の設置などが行われてきましたが、4月1日から全て打ち切られ、施設内クラスターが多発しています。