「杜」生かした再開発に 神宮外苑 市民が見直しに向け勉強会

 都知事選を経て多数の樹木伐採を巡り緊迫する神宮外苑再開発(新宿区・港区)問題で、現状と課題を考える「緊急勉強会」が7月31日、渋谷区で開かれました。主催は再開発の見直しを求める市民ら。
 再開発工事は反対世論におされて都は、三井不動産など事業者に樹木保全の具体策を示すように求め、報告書提出までの間、工事を一時中断せざるを得なくなりました。現在はその報告を待っている状況です。
 集会では、「神宮外苑と国立競技場を未来に手わたす会」共同代表の大橋智子さん、再開発計画の見直しをブログ「神宮外苑の緑と空と」などインターネットで発信する角井典子さんが、開催の趣旨を説明。大橋さんは「一見、工事は止まっているように見えるが道路の下では配管工事が着々と進み、樹木伐採はいつでもできる状況にある」と予断を許さない現状を説明。
 事業者は「内苑護持のための外苑再開発」「十分に説明は行ってきた」と発信し、都も事業者に寄り添う発言をしていると指摘。「私たちは、まずは事実を知ることから始め、何が最善の方法なのかを判断する必要がある。これまで行われてきたことが本当に正しかったのかを学びましょう」と呼びかけました。
 都市計画専門家の大方潤一郎・東京大学名誉教授が講演。外苑は都市計画公園や風致地区に指定された公的な位置付けを持ったもので、本来は土地所有者・事業者が勝手に開発できないのに、民間事業者による再開発を可能にした背景を解説。
 都が再開発構想を水面下で描き、森喜朗元首相に説明していたことや、超高層ビル建設を可能にするために都が主導して本来の目的を歪めて「再開発促進区」「公園まちづくり制度」を適用して規制を緩和し、都市計画公園区域を削ったことなど、年代を追って詳しく説明しました。
 大方氏は再開発計画の最大の問題として「樹齢100年を超す樹木を伐採し、超高層ビルを建設し、国民の財産である公園を壊すこと」を重ねて強調。再開発計画そのものについても「稚拙」だと批判。再開発を巡る今後必要となる手続きについて、土地の権利変換計画の認可や区道の変更などさまざま必要になるとし、計画を見直すことも可能だとしました。
 その上で「再開発でさらに素晴らしい神宮外苑にしてもらいたい。『神宮の杜』を生かし、親しまれてきた野球場、ラグビー場を改修して機能を高めればいい。大幅に見直すべきだ」と提起しました。

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