新型コロナ お盆明けが要注意 検査・治療 国、都は負担軽減を

 第11波と言われる新型コロナウイルス感染拡大の動向を、医療関係者が注視しています。東京都が発表する定点医療機関(都内419カ所)での患者報告数(1週間の1医療機関あたりの感染者数)は、7月28日までの1週間9・12人をピークに減少傾向ですが(グラフ)、学校の夏休みや医療機関が盆休みだったこともあり、昨年同様、盆明けに急増する恐れが指摘されています。最近の感染状況と対策について、練馬区で開業する「よしだ内科クリニック」の吉田章院長(東京保険医協会副会長)に聞きました。

吉田章医師に聞く
 5月ころから新型コロナにり患された方が増加してきました。その傾向が今も続いているというのが実感です。昨日(8月22日)も、午前中の診療で発熱外来6人のうち4人が検査をして、3人が陽性でした。
 当院では発熱で来られる方は(感染症法の)5類移行前と同様、他の患者さんと接触しないよう別の場所で検査をしてもらっています。症状は微熱の人もいますが、多くは38~39度の発熱、のどの痛みやせきが特徴で、全身の関節痛やだるさなどを訴える人もいます。
 感染状況について最近、マスコミが取り上げることは少なくなりましたが、新型コロナ感染が終わっている訳ではありません。現在主流となっている変異株kp・3は、重症化しにくいと言われていますが、後遺症に苦しむ人もおり、ただのかぜとも違います。別の変異株も出始めており、感染しないことに越したことはありません。
 り患された方の中には、どこで感染したか思い当たらない人もいます。スーパーや混雑した電車など、人の多いところでのマスク着用やこまめな手洗い、換気がやはり大事です。油断せずに感染対策に注意を払ってください。

感染の拡大防ぐ早期検査・診断
 感染が疑われる場合は、早めの診療が大事です。早期の検査で新型コロナの感染が確定すれば、治療の選択肢も広がり、後遺症や合併症の予防にもつながります。他の方への感染リスクを減らすことができます。新型コロナではないことが分かれば新たな検査による早期診断、治療につなげることもできます。基礎疾患のある人には、早期診断で重症化を防ぐ治療薬を処方することができます。
 ただ、そうした適切な治療をするために障壁となるのが、検査費用や高額な治療薬です(表参照)。5類になる前と違って費用が発生するために、検査を希望しない人が増えています。もともと経済的格差が広がっているのに、異常な物価高の中で余裕がなくなっていることが一因だと思います。
 当院では症状に合わせて比較的安価な漢方薬を処方するケースが多いのですが、有効な治療薬を必要としている人が高額なために使うことができないなど、国民皆保険制度のもとで、あってはならないことです。検査費用は無料に、治療薬もできれば無料、少なくとも必要な人はだれもが使えるように、国や東京都は補助すべきです。

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