国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)による第9回日本報告審議が、8年ぶりとなる10月17日にジュネーブ(スイス)で開かれるのを前に、日本共産党の田村智子委員長(衆院比例東京予定候補)らは21日、有楽町マリオン前(千代田区)で「ジェンダー街宣」を行いました。
日本は国連が制定した「女性差別撤廃条約」の締約国ですが、同条約の実効性を強める「女性差別撤廃条約選択議定書」には、いまだに批准していません(2023年10月時点で115カ国が批准)。市民団体などが審議に向け、日本政府の姿勢を変えようと運動を広げており、同党も連帯を示しています。
同党の米倉春奈都議が司会を務め、第1部はライターの小川たまか氏と田村氏が対談。米倉氏が日本のジェンダーギャップについて、「変えたい」ところを質問しました。小川氏は「女性議員の数を増やしたい」と答え、「パリテ(男女均等、同数)やクオータ制(議席の一定割合を女性に割り当てる制度)を進めてほしい」と切望。田村氏は「選択的夫婦別姓」と強調し、「実現すれば景色がガラリと変わるだろう」と、希望を語りました。
性暴力の問題をめぐり、同課題を長く取材している小川氏は、「性暴力は権力勾配(権力の差)の元に起こる。その構造を伝えていきたい」と発言。昨年12月に沖縄で発生した、米兵による16歳未満の少女に対する性暴力事件を外務省が隠ぺいし、約半年後に報道されたことについて、田村氏は「(政府は)在日米軍を守るために、女性と子どもの人権を踏みにじった。自民党の政治はモラルの大崩壊を起こしている」と、胸を痛めました。
ジェンダーギャップの中でも特に低迷が目立つ経済分野に関し、田村氏は「自由時間拡大推進法案(自由時間拡大のための労働時間の短縮を推進する法律案)」を同党が前日(20日)に提唱したことを報告。「世界で一番、睡眠時間が短いのは日本の女性。女性が眠れ、自由な時間が持てる社会を、ジェンダー平等の点から据えていきたい」と訴えました。
4人がスピーチ
第2部は、4人の女性がスピーチ。医師で「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」の共同副代表を務める前田佳子氏は、「経済成長が鈍化している日本が、巨額の税金を軍事費に充てるしわ寄せは、女性や子ども、性的マイノリティー(社会的少数者)など、社会的に弱い立場の人に必ず向かう」と強調。パートタイム労働の女性は、「女性が週5日、フルタイムで働いたら、しっかりと身を立てていける、将来に備える貯金ができる社会を政治に求めたい」と声を強めました。
保育士で、選択的夫婦別姓の実現を目指して活動する根井ちあき氏は、結婚後に約95%の女性が夫の姓を名乗っているのは、「義務教育で誰も教えてくれなかったから」だと指摘。「家制度の慣習を感じざるを得ない」と述べました。農民運動全国連合会女性部の満川暁代氏は、農村に根強く残る家父長制を説明。農家など、自営業者の家族労働を経費として認めない所得税法56条の差別条項は、「CEDAWからも見直しを勧告されているが、政府はいまだに放置している」と憤り、「家族農業を切り捨てる今の農業政策では、農村女性の苦しみも、日本の食料と農業の危機も打開できない。自公政治を転換しよう」と訴えました。
最後に、田村氏が再び登壇。「皆さんと一緒に、この国を変えていきたい。〝私〟が〝私〟を大切にできる日本の社会をつくっていこう」と、聴衆に呼び掛けました。