生活困窮者支援現場から
生活困窮者を支援する民間団体「新宿ごはんプラス」は毎週、食料の配布と生活や医療相談会を行っています。始まる1時間前には300人以上の行列。総選挙が迫る28日、列に並ぶ人やスタッフに政治に望むことを聞きました。(染矢ゆう子、日隈広志、松沼環)
初めて「新宿ごはんプラス」を利用した男性(50代)=埼玉県川口市=は塗装職の個人事業主でしたが、仕事が激減して家賃が払えず、今年4月からJR川口駅前で路上生活に。日雇いの仕事で「毎日をしのいでいる」と言います。「睡眠は毎日2時間。暑さで全く眠れない日もある。安心して眠れる場所がほしい」と食料を受け取った後、生活相談をしました。後日、生活保護を申請することになりました。川口駅前では、男性以外にも十数人が路上で生活しているといいます。「政治は誰の方を向いているのか、冷たすぎる」と語りました。
4年間で10倍に
アルバイト中に転落し、障害を負った男性(56)は、18年前から生活保護で暮らしています。「卵と米がここまで上がると生活保護では本当にしんどい」といいます。政治に望むことを聞くと「生活保護費は30年ぐらい上がっていない。上げてくれないと」と話しました。
行列のなかには20代から30代の女性の姿もあります。4年前から通う求職中の男性(41)=東京都新宿区=は「この4年で受け取る人は10倍に増えた」と語ります。
週2回アルバイトし、毎月赤字だと話す男性(46)=新宿区=は兵庫県から15年前に上京。体を壊し、役所に生活保護の相談に行きましたが、担当者に「おまえみたいな若いのは受けられない」と言われました。「死ねということですか」と聞くと、「そういうことになる」と。「その後、相談していない。生きていくのがしんどい」
自民党倒す好機
1年ほど前から月1回程度通っているという男性(47)は、コロナ禍で仕事を失い、現在は短期の派遣の仕事をしています。「その日暮らしだから、物価高はきつい。お菓子とか手が届かない」。今の政治については「自民党を倒すチャンスでしょ。野党は連合して変えてくれないと」と語っていました。
28日は637人が食料を受け取り、28人が相談に訪れました。「NPO法人自立生活サポートセンター・もやい」理事の松山晶さんは、「総選挙ではどの政党も誰もが生活できる収入を得られる政策を掲げてほしい」と話しました。
国民一人ひとり向き合う国政に
毎週参加している日本共産党の谷川智行衆院東京比例候補(医師)の話 コロナ禍と物価高騰を受けて食料支援を利用する人は、家はあり、仕事はあるが生活に困窮している人がほとんどです。医療相談に来る人は、保険証を持っていても病院に行けない人が多い。2割、3割の窓口負担に耐えられないのです。給料が上がらず、年金はカットされる。工夫や努力で節約しても生活が回らない。社会の底が抜けています。
街頭でつかんだ実態を国政に届け、政治を変えなければいけません。「誰の方を見て政治をしているのか」と皆さん言われます。大企業・財界の金で動く政治ではなく、一人ひとりの暮らしや困難に正面から向き合い、暮らしをよくする。その当たり前の政治を実現するために、来たるべき総選挙で、どうしても日本共産党が伸びる必要があります。
(「しんぶん赤旗」2024年9月30日付より)