障害者の“暮らしの場”充実を 都議会 あぜ上都議が一般質問

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 都議会本会議の一般質問(9月26日)で、あぜ上三和子都議は、要望の強い障害者の「暮らしの場」の整備について、不安な状態におかれている当事者や家族、施設関係者の声や現状を紹介し、抜本的充実を求めました。

 あぜ上都議は、障害のある人が暮らす場の状況について、「『選択した』というより、『選ばざるを得ない』という現状」だと述べ、事例を挙げました。
 耳の聞こえない自閉症の男性の母親は、地域でグループホームを実現したものの、国の低すぎる報酬単価のもとで職員が不足する厳しい運営を目の当たりにして、「手のかかるわが子を365日お願いすることはできない」と、土日は自宅で生活させるようにしました。母親は「私が万が一の時は、施設に移るしかないのでは」と心を痛めています。
 また、強度行動障害の男性の家族は自宅介助が困難となり、都内近県で探した30カ所の入所施設の全てが満員で断られ、青森県の施設に入所せざるを得ませんでした。母親は片道5時間かけて面会に出かけています。
 東京都社会福祉協議会・知的発達障害部会など6団体が開いた集会アピールでは、「知的発達障害者の暮らしの場を抜本的に整備してください」と訴えました。
 あぜ上都議は「障害のある人が選択できる暮らしの場を都として量・質ともに充実させることは、都政の重要課題だ」と指摘。都立や民間の入所施設の拡大、都として国に報酬改善を求めること、都のグループホーム体制強化支援事業の改善、施設職員の処遇改善のための居住支援特別手当の拡充、経験年数に応じた昇給のための補助創設を求めました。
 小池百合子知事は「どんなに障害が重くても、希望する地域で安心して暮らせる社会を実現するには、障害のある方を支えるサービスの充実が必要」と表明。「引き続きグループホームなどの地域生活基盤の整備を促進し、相談支援や一人暮らし体験などの機能を備えた拠点を整備する区市町村を支援していく」と答弁しました。
 あぜ上都議は先進諸国と比べ日本の障害者福祉予算は極めて低いとし「都として国をリードするような障害者福祉予算に」と予算増額を求めました。

東京都版の終身サポート事業を
 高齢化が進む中で、身寄りがない一人暮らしの高齢者の不安が広がっています。病院や介護施設への身元保証、通院の付き添いや亡くなった後の葬儀や家財・遺品の整理など、心配はつきません。一方、医療機関や介護老人施設の相談員らも、金銭管理や入退院の手続きなどで苦慮しています。
 こうした中、「終身サポート」を行う民間事業者が増えてきましたが、契約トラブル、利用時や解約時の不安などの相談が増加傾向にあります。
 あぜ上都議は、名古屋市社会福祉協議会が葬儀や家財処分をサポートする「なごやかエンディングサポート事業」や厚生労働省がスタートさせた「支援」を安価に受けられるよう市町村に人件費分を補助するモデル事業を紹介。小池知事が「おひとり様高齢者の支援」を公約したことを挙げ、国に対し事業の拡充を求めるとともに、都として個人の負担軽減のための財政支援なども取り入れた東京版「終身サポート事業」の実施を提案しました。
 古屋留美生活文化スポーツ局長は、都内の消費生活センターに高齢者から寄せられた相談は増加し、2023年130件にのぼり、事業者の信用性や高額な契約の解約を求める相談があると答弁。山口真福祉局長は「一人暮らしの高齢者が地域で安心して暮らせるよう、地域包括ケアシステムを深化・推進していくこととしている」としました。
 あぜ上都議は、医療機関や介護事業所などの身元保証に関する実態調査を要望しました。

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