総選挙(総定数465議席)が10月27日、投開票され、日本共産党は比例東京ブロック(定数19)で田村智子同党委員長が衆院で初議席を獲得しましたが、宮本徹前衆院議員の議席を失いました。全国では前回10議席から8議席に後退しましたが、オール沖縄の赤嶺政賢氏(沖縄1区)は9選を果たし、同党の小選挙区唯一の議席を守りました。一方、X(旧ツイッター)などには「自民党が議席を大幅に減らしたのは裏金スクープがあったから。共産党は間違いなく今回のMVP(最優秀選手)」「共産党ありがとう」など、他政党の支持者や無党派層からも激励が寄せられています。
自民党派閥の裏金事件など、共産党の暴露・追及で金権腐敗政治への批判が高まる中、“裏金議員”の落選が相次ぎ、自民・公明与党は公示前の279議席から215議席へと過半数(233議席)を大幅に割り込み、国民の厳しい審判が下りました。
5氏が報告街宣
衆院で初議席を得た日本共産党の田村智子委員長をはじめ日本共産党の比例東京ブロックの全5氏は10月28日夕、選挙結果を受けた街頭宣伝を新宿駅東南口(新宿区)で行いました。田村氏は「日本共産党へのご支援をいただいた皆さんに心から感謝したい。与えられた議席の重みを痛感しながら頑張っていきたい」(田村氏)と謝意を述べ、聴衆から温かい拍手を受けました。吉良よし子参院議員が司会。
田村氏は「与党の大敗、過半数割れという歴史的状況をもたらす総選挙となった。国民が自民党政治に代わる新しい政治を模索する新しい激動の情勢がはじまる」と指摘。この情勢をつくり出した自民党の裏金事件を暴露し追及した「しんぶん赤旗」と日本共産党の力に言及。選挙最終盤に政党助成金(税金)が原資の2000万円が裏金議員にも渡されていたと暴いたことが、「街の空気を一変させたと言われるほど、情勢の激変を巻き起こした。(自公の過半数割れに)日本共産党が大きく貢献できた」と強調しました。
その上で「国民の前向きな政治を変えてほしいという願いに応えるかどうかが、全ての政党に問われる局面を迎える」とし、企業・団体献金の全面禁止、選択的夫婦別姓の実現、健康保険証の存続、大学の学費値上げ阻止などを例示。「これらを実現させていくために、国民と新たな運動も草の根で巻き起こし、政治を動かすために全力を尽くす」と述べました。
田村氏は「訴えれば訴えるほど支持が広がる手応えを感じる論戦だった」と振り返り、「掲げた政策は今後国会内外で政治を動かしていく確かな足場になる。ぶれずにこの立場を貫き、実現していく」と表明。「悔しい結果だったが、来年の都議選・参院選で前進・躍進を果たしていきたい。現実の政治を動かしながら日本共産党そのものを大きくすることに挑戦する」と力を込めると、激励の拍手に包まれました。
希望示した結果
伊藤和子氏は「政治を変えるには庶民の力を集めること。これからも一緒に頑張っていきましょう」、坂井和歌子氏は「私たちの声で政治を変えられることを証明しました。信念を曲げずに頑張ります」と力を込めました。
4区で3万2909票(得票率15・3%)を獲得した谷川智行氏は、「自公を過半数割れに追い込んだ力に誇りと確信を持ち、共産党を大きく伸ばして一人ひとりが大切にされる新しい政治の実現に頑張ります」。
20区で5万8216票(得票率26・8%)を獲得した宮本徹氏は「期待に応えられなかったことに申し訳ない思いでいっぱいです。しかし政治はただされるという希望を見いだしているのが今度の選挙結果。議員バッジはなくても新しい8人の議員団と力を合わせて、掲げた公約の全面実現のために力を尽くす」と表明しました。
夫とともに演説を聞いた女性(77)=江戸川区=は「自公が過半数割れになったのは良かった。桜を見る会からずっと追及し今回、過半数割れの状況をつくった共産党が減ったのは本当に残念。国民のためにぶれずに筋を通す共産党をこれからも応援します」と話していました。
比例東京
自民50万、公明14万減
自民党は56議席減の191議席の大敗。裏金事件に関わった46候補(非公認などの12人含む)のうち28人が落選し、現職閣僚2人も落選しました。自民裏金議員にも推薦を出した公明党も石井啓一代表(埼玉14区)が落選し、8議席減の24議席になりました。
比例東京ブロック(定数19、投票率56・06%、前回57・20%)では、自民党は得票で前回より約50万票、得票率で7・4ポイント減らし、6から5議席へと1議席後退。公明党は2議席を維持したものの、得票は約14万2000票、率で2・1ポイント減らしました。維新は34万1000票、率で5・2ポイント後退しました。
一方、大躍進した立憲民主党は比例の得票増は約4800票(0・4ポイント)ほどでしたが、議席は4から5へと増やしました。国民民主党は得票で約64万票、率で10・2ポイント増やし、0から3議席に伸ばしました。
共産 1議席に
現有2議席の確保を目指した日本共産党は得票を約17万票、率で2・5ポイント減らし、議席は2から1議席に後退しました(表)。
小選挙区
小選挙区(総定数30)では、自民は前回16から11議席に後退。裏金議員で公認の山田美樹(1区)、丸川珠代(7区)、非公認(無所属)の下村博文(11区)、小田原潔(21区)の各氏は落選しました。
立憲は8から15議席に大幅増となりました。裏金事件で自民党公認が受けられず無所属で出馬した下村博文元文科相(11区)、公選法違反で3年間の公民権停止から回復し、無所属で9区から出馬した菅原一秀氏(自民党復党、同党推薦)は、ともに落選しました。
日本共産党が自主支援した立憲民主党の9候補のうち、以下の8人が小選挙区で当選しました。
▽5区 手塚仁雄(前)▽6区 落合貴之(前)▽7区 松尾明弘(元)▽8区 吉田晴美(前)▽9区 山岸一生(前)▽21区 大河原雅子(前)▽23区 伊藤俊輔(前)▽27区 長妻昭(前)―の各氏。