リニア工事現場近く
リニア中央新幹線のトンネル掘削工事が行われている東京都町田市小野路(おのじ)町で、住宅の庭に地中から水と気泡が噴出していたことが8日までに分かりました。JR東海は噴出が確認された10月22日に掘削を中断し、工事との因果関係を調べています。住民によると、噴出は同日から2日間ほど続きました。(丹田智之)
同社は昨年7月、町田市内の小野路非常口の地下から「調査掘進」と称してシールドマシン(掘削機)を発進させ、西に247メートルの地点まで掘り進めていました。
施工会社に「水が出ている」と連絡した住民の男性(85)は「庭に水がたまり、5~6カ所の穴からブクブクと気泡が噴き出ていた。町田市水道局の職員に調べてもらったところ、塩素の検出がなく、水道管の漏水が原因ではなかった。地下で何が起きているのか分からないことが不安だ」と話しています。
水と気泡が噴出した場所の付近まで掘削工事が進んでいるとみられます。
掘削機は直径14メートルで、土を掘りやすくするために気泡剤を放出しています。JR東海が住宅の庭で採取した水を調べたところ、気泡剤に含まれる界面活性剤を検出しました。
8日に市内で記者会見を開いた「リニア中央新幹線を考える町田の会」は、地中から出た気体を採取して計測したところ「酸素濃度が1%で、吸い込むと人体に有害な『酸欠空気』だった」と公表しました。
同会の藤井石根(いわね)共同代表は「工事による影響が考えられる」として「シールド工法による東京外環道のトンネル工事では、東京都調布市の住宅街で陥没事故が起きた。リニアの工事も同じ工法で、事故が起きることを想定して危機感を持っている」と語りました。
日本共産党の池川友一都議と田中美穂・町田市議は10月24日、水と気泡が出ている状況を調査し、住民の男性から話を聞きました。
池川氏は「調査の時点で気泡は勢いよく出ていた。JR東海は原因を究明し、住民に説明するべきだ」と述べています。
市の担当者も現場の状況を確認し、JR東海に「市民の不安を解消するための丁寧な対応」を求めました。
(「しんぶん赤旗」2024年11月9日付より)