受験生に非ないのに再試験続出 ずさん 英語テスト

東京・スピーキング 推進の人も「いったん中止に」

機器不具合、2時間遅延 試験監督当日募集

 東京都内の全公立中学3年生約7万人を対象に実施された中学生英語スピーキングテスト。大量発生した機器の不具合、試験監督の合図ミスなどを理由に、別の日に再試験になる人が続出しました。これまで推進してきた人からも「受験生の負担が大きすぎる。いったん中止に」の声があがっています。

 テストは11月24日に実施されました。東京都教育委員会は同月29日の都議会文教委員会で、テストの実施状況について、「タブレットの不具合のために試験終了時刻の2時間程度の遅延が一部の会場で発生した」と報告しました。小池百合子都知事は会見(12月6日)で「試験は適切に実施され、教育委員会によって(入試に)活用していく」とのべました。

口頭合図でミス

 しかし英語スピーキングテストの都立高校入試への活用中止のための都議会議員連盟など4団体が行った実施状況調査でこれまで以上のずさんさが明らかになりました。調査は中学3年生(107人)や保護者、試験監督など186人が回答しました。それによると「機材トラブルで(午後3時半予定の)帰宅が6時になった」と大幅に遅延した会場が複数ありました。

 遅延は機器の不具合だけが原因ではなく、試験監督のミスが重なったこともあります。日本共産党の、とや英津子都議によると試験監督のアルバイトが当日の正午ごろ、午後0時45分締め切りで12会場で緊急募集されていました。試験開始は午後1時でした。

 調査では「(音漏れ防止の)ヘッドセットをつける前に『はじめ』と言われた」「手で合図すると説明していたのに口頭で合図した」などのミスがあり、「試験官のミスで22人が再試験になった」との記述もありました。

 タブレットの不具合が生じた生徒は、本来ならすぐに別室に移動すべきところ、試験を開始できた生徒と同じ部屋で解答する声が聞こえる状態で待機させられました。午後5時や6時まで待たされ再受験するよう言い渡された、との記述も複数ありました。

 都内で高校受験のための塾講師をしている東田高志さんは塾生から「待ち時間が長すぎる」と不満が多かったといいます。「何もすることがなく寝ていた」と話す塾生もいました。塾生からは試験監督がトラブルに対処できないことにも不満があったといいます。「1分1秒も無駄にできない受験生の貴重な日曜日をつぶすのは負担が大きい。改善されるかと思いましたが、3年たっても改善されない。いったん中止し、生徒の負担が減るように改善策を考えるべきです」と東田さんは話します。

昨年度は60件も

 試験は都教育委員会が民間企業に委託して行います。今年は実施主体がベネッセからブリティッシュ・カウンシルに変更されました。機器不良での再試験は昨年度も60件ありました。調査によると今年は数十人単位の再受験が少なくとも3会場以上で起きています。

 とや都議は「受験生に非は何もないのに再試験になるなどひどい運営状況です。都立高の入試に活用するなど許されないと求めていきたい」と話しています。

(しんぶん赤旗2024年12月11日付より)

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