物価高・賃上げ支援不可欠 都政の転換を迫る

都議会 原のり子氏代表質問

 日本共産党の原のり子東京都議は10日の都議会代表質問で、都政を根本から変える共産党の「四つのチェンジ」提案を示し、都民の暮らしを守り抜き、地域経済の立て直しを最優先にする都政を小池百合子知事に迫りました。

 原氏は、小池知事が所信表明で「暮らしを守る」としながら、物価高騰に一言も触れなかったことを批判。「米も野菜も高くて買えない」という都民の声を示し、スウェーデンの国家予算並みの財政力で物価高騰対策を行うよう求めました。

 「いま特に大事なことは中小企業の賃上げだ。家計を温め個人消費が伸びてこそ地域経済が元気になる」と述べ、物価上昇を上回る賃上げを求めました。都の中小企業賃上げ支援の奨励金について、申請要件が厳しく決定まで数カ月かかるなど制約が多いと指摘。賃上げだけを要件とし使いやすい奨励金の実施を提案しました。

 また、「都が契約する公共工事や委託事業で働く人の賃上げも、都の努力でできる」と強調。都が「生活に必要な物をまかなえる水準の賃金」を推奨する指針をつくったことに触れ、賃金の目安を示すよう求めるとともに、賃金条項を持つ公契約条例の制定を提起しました。

 原氏は、都内各地の再開発で土地価格が上がり「東京は富裕層しか住めない街になりつつある」と指摘。23区の家族向け物件の平均家賃が昨年比で月3万2千円上がったとの報道を示し、住宅困窮世帯や子育て世帯、若者・高齢者・単身女性の家賃支援、都営住宅の新規建設再開に踏み出すよう迫りました。

 田中慎一産業労働局長は都の賃上げ奨励金について、2023年度は延べ5695社の応募に対し、支給が159社(2・8%)だったこと、応募から支給まで1年~1年半かかったことを明らかにしました。

巨額都財政 用途正せ 巨大噴水計画など批判

 原のり子都議は10日の代表質問で、企業・団体献金や自民党の裏金問題など、政治資金についての小池百合子知事の認識をただしました。また、巨大噴水の整備計画や、都庁舎に映像を映す「プロジェクションマッピング」(PM)などの「巨額の都財政の使い道」も追及しました。

 小池知事は10月の総選挙で萩生田光一氏ら自民党の裏金議員を応援。原都議はこの理由を問いました。

 また、知事が神宮外苑再開発の事業者である三井不動産に政治資金パーティー券を購入してもらったことを否定していないと指摘。「利害関係企業に購入してもらって問題はないか」「パーティー券も含めて企業・団体献金は禁止すべきだ」とも問いました。

 小池知事は選挙応援について「これからも都政に協力いただいている方々と力を合わせる」と述べ、政治資金については「重要なのは企業や団体と、しがらみのない政治活動を行うこと」と答えるにとどめました。

 原都議は巨大噴水の整備費が26億円になると指摘。PMに3年間で64億円の都税が投入されることも示し、「都民の暮らしが厳しさを増す中、巨額の都財政をつぎ込むことに批判が集まっている」と述べました。

 その上で、噴水計画について共産党が開示させた都文書に、知事が意思決定した文書がなかったことを明らかにし、「いつ、どのように意思決定したのか」とも問いました。

 松川桂子港湾局長は「2022年12月に局の方針を決め、翌1月に知事に報告した」とだけ答弁。原都議が再質問で「記録がないのになぜわかるのか。記録を残さず知事に報告する場があるのか」と問いましたが、局長は答えませんでした。

保育料の無償化 来年9月で検討

 東京都の小池百合子知事は10日、7月の知事選で公約した第1子の保育料無償化について、来年9月から実施する方向で検討していることを明らかにしました。都議会本会議で日本共産党の原のり子都議の代表質問に答えました。

 国は2019年10月から、3~5歳の幼稚園や認可保育園を無償化しましたが、0~2歳は住民税非課税世帯などに限定。都は昨年から第2子以降の0~2歳の保育料を無償化していました。

 原氏は保育料無償化を「速やかに実施すべきだ」と要求。公立・私立とも都が全額を支援するよう提起しました。

党都議団「四つのチェンジ」

▽都民のくらしを守り抜き、地域経済を立て直すことを最優先課題とする都政へ
▽財界ファーストの「まち壊し」から住民参加で持続可能な「まちづくり」への転換
▽都民の命と健康を守り抜く都政へ
▽人権と平和を大事にする都政へ

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