若者の質問にズバリ─学習会で田村委員長講演 東京

共産主義って何 もしも首相になったら何をする

講演する田村智子委員長=20日、東京都新宿区

 「資本主義って乗り越えられるの?」「労働時間の短縮は可能なの?」―。日本共産党の田村智子委員長は20日、東京都内で「共産主義と自由」をテーマにした学習会で講演し、参加した学生や青年労働者の質問に答えました。主催は「共産主義と自由」実行委員会(協力、民青同盟早稲田班・民青新宿地区委員会)です。

 資本主義で格差と貧困は広がり、気候危機が深刻化しています。田村氏は「果たして資本主義は『人間の自由』を保障しているのか。学ぶ自由、職業選択の自由、さまざまなことを経験する自由。これらは格差の中での自由ではないですか。気候危機は生存の自由さえ脅かしているので」と問いかけました。

 資本主義が“限りないもうけ競争”を宿命としていることを示した田村氏。大手電機産業での大規模リストラを追及した経験にもふれて、企業に融資する銀行やファンドが人員削減を要求するなど、「利潤第一主義」が人間犠牲をもたらしていることを告発しました。

 参加者が「僕は共産党にすぐ政権をとってほしい。田村さんが総理大臣になったら何を最初にやりたいですか」と質問。田村氏は、過労死で父親を亡くした子どもが“もしもドラえもんがいたら、タイムマシンでお父さんが亡くなった日に戻って今日は会社に行かなくていいよって言いたい”と書いた作文を紹介して、「人間犠牲の経済をただしていきたい」と強調しました。

 会場から「商品があふれかえっていて、人間は自分や地球を破壊しながらこのまま進んでいってしまうのではと思ってしまう。田村さんはどう考えますか」と質問が。

 田村氏は、資本主義がもたらす害悪を感性にも訴えて知らせることが大切ではないかと提起しました。例えばチョコレートの生産はどんな労働によるものか、環境破壊がどこまできているか、現実を知って伝えることが大切ではと述べました。マルクスが『資本論』で過酷な児童労働を告発し、「ただ食べて寝て働くだけが人間の人生かと人道上の怒りを持って訴えています。“商品”の後ろにあるもの―労働者の犠牲や気候危機―を知ることが社会を変える力になる」と話しました。

 20代の看護師は「普通にチョコを買ったり、便利な生活をしているけど、その商品がつくられた後ろ側を想像することが大事だなって思う。共産党の話は初めて聞きました。政治とか社会のことを知る機会になった」と話しました。

 田村智子委員長は、“もうけ競争”の利潤第一主義から自由になるには、生産手段の社会化が必要だとし、その形は多様だとのべました。

 田村氏は本紙連載(12日から全8回)の再生可能エネルギー事業「おひさま進歩エネルギー株式会社」(長野県飯田市)に注目しました。

 住民が出資して太陽光パネルを設置し、利益は地域に還元しています。「利潤第一主義とはまったく違うもの。生産手段の社会化の一つのヒントになるのでは」と提起しました。

 日本共産党がめざす共産主義社会の「自由」とは何か。田村氏は『共産党宣言』(1848年マルクス、エンゲルス著)の「各人の自由な発展が万人の自由な発展の条件であるような一つの結合社会」を紹介し、「一人ひとりが自分の可能性をのびのびと発揮することが、社会主義・共産主義の目的。自分のために使える時間こそが『自由な発展』の保障になります」と語りかけました。

 「資本主義で労働時間の短縮は実現可能ですか」という質問に田村氏は、「労働運動の原点は労働時間の短縮。フランスは週35時間労働へと進んでいる。たたかいと国会論戦で労働時間規制は実現できる。また職場での労働組合運動で時短を要求することは大きな力となります」と答えました。

 大学3年生は、「労働時間の短縮で卒業論文を書くつもりです。自由な時間を増やす、自由な社会をめざすという話は刺激的」と感想を語りました。

 田村氏は、発達した資本主義がつくりだす未来社会への可能性を旧ソ連との違いにもふれて示しました。

 「共産党が政権をとって一党独裁にならないか」という質問には、「国民多数の合意で社会変革を進める。当面の改革も一致する要求・政策での連合政権でというのが綱領の立場。独裁はありえません」と答えました。

 田村氏は「今日の学習会を契機に、社会のあり方をともに考え語り合う機会を系統的につくっていきたい」と話しました。

(「しんぶん赤旗」2024年12月22日付より)

タイトルとURLをコピーしました