都議会代表質問 財政力で地域経済立て直せ 中小賃上げ支援不可欠

 都議会は10日に本会議代表質問、11日に同一般質問を行いました。日本共産党は代表質問に原のり子都議(北多摩第4区=東久留米市・清瀬市=選出)が立ちました。都政を根本から変える共産党の「四つのチェンジ」提案を示し、「都民の暮らしを守り抜き、地域経済の立て直しを最優先にする都政への転換」を小池知事に迫りました。

原のり子都議 都政の転換迫る
 原都議は小池知事が所信表明で「暮らしを守る」と言いながら、「物価高騰に一言も触れなかった」と批判。「コメも野菜も高くて買えない」という都民の声を示し、スウェーデンの国家予算並みの都の財政力を地域経済の立て直しに活用すべきだと主張。「いま特に大事なことは中小企業の賃上げだ。家計を温め、個人消費が伸びてこそ地域経済が元気になる」とし、物価上昇を上回る賃上げを提起しました。
 都の中小企業賃上げ支援の奨励金(1社あたり最大60万円)について、申請要件が厳しく、決定まで数カ月かかるなど問題が多いと指摘。他県の事例も挙げ、賃上げだけを要件とした使いやすい奨励金の実施を提案しました。
 また「都が契約する公共工事や委託事業で働く人の賃上げも、都の努力でできる」と指摘。都による「生活に必要な物をまかなえる水準の賃金」を推奨する指針策定を評価した上で、この賃金の具体的な目安を示すことを求めるとともに、賃金条項を持つ公契約条例の制定を求めました。
 田中慎一産業労働局長は都の賃上げ奨励金について、2023年度は延べ5695社の応募に対し、支給が159社(2・8%)だったこと、応募から支給まで1年〜1年半かかったことを明らかにしました。

子ども医療費助成所得制限を撤廃へ
 原都議は高すぎる国民健康保険料(税)の負担軽減について、「物価高騰のもとで手元に残り、使えるお金を増やすにも重要。子どもの均等割をゼロ円にすることは、子育て支援に大きな効果がある」とし、都の判断で実施するよう提案。18歳までの子ども医療費助成については、多摩地域に残る所得制限や一部負担金の撤廃、高校生等医療費助成への継続的な財政支援など、市長会の強い要望に応えるべきだと強調。中度・軽度の障害者の医療費の負担軽減も提起しました。
 山口真福祉局長は子どもの医療費助成について「来年10月からの所得制限撤廃を目指し、区市町村と協議している」と答えました。

保育料の無償化来年9月で検討
 原都議は7月の都知事選で小池知事が公約した保育料の第一子無償化について、「速やかに実施すべきだ」と迫りました。小池知事は来年9月から実施する方向で検討していると明らかにしました。
 国は2019年10月から、3〜5歳の幼稚園や認可保育園を無償化しましたが、0〜2歳は住民税非課税世帯などに限定。都は昨年から第2子以降の0〜2歳の保育料を無償化していました。
 原都議は公立・私立とも都が全額を支援するよう求めました。

高齢者福祉の充実
 原都議は「若い世代にとって、高齢者は将来の自分たちの姿だ。高齢者が低年金や重い医療費、介護の負担に苦しむ中、若い世代が『未来は明るい』という希望を持つことはできない」と強調。
 小池都政8年間で都税収入が1兆円増え、高齢者人口も増えたとし、高齢者の暮らしを支える予算を2倍、3倍に増やすことを提起。シルバーパス(70歳以上対象のバス・都営交通の乗車証)の一律1000円、利用交通機関の拡大などを求めました。
 山口福祉局長は「利用実態を把握しながら検討することとしている」と答えました。

家賃支援求める
 原都議は都内各地の再開発で、土地価格が上がり「東京は富裕層しか住めない街になりつつある」と指摘。23区の家族向け物件の平均家賃が昨年比で月3万2000円上がったとの報道を示し、住宅困窮世帯や子育て世帯、若者・高齢者・単身女性の家賃支援、都営住宅の新規建設再開に踏み出すよう迫りました。
 小笠原雄一住宅政策本部長は子育て世帯の住宅支援について「副知事を筆頭とした体制により検討を進めている」と答弁しました。

巨額都財政 用途正せ 巨大噴水計画など批判

 小池百合子知事は10月の総選挙で、国民から批判を浴びた裏金議員の一人である萩生田光一氏ら自民党の裏金議員を応援しました。
 原都議はその理由を問いました。さらに小池知事が神宮外苑再開発の事業者である三井不動産に、政治資金パーティー券を購入してもらったことを否定していないと指摘。「利害関係企業に購入してもらって問題ないと思っているのか」「パーティー券も含めて企業・団体献金は禁止すべきだ」とただしました。
 小池知事は選挙応援について「これからも都政に協力いただいている方々と力を合わせる」と反省はなく、政治資金については「重要なのは企業や団体と、しがらみのない政治活動を行うこと」と答え、企業・団体献金を肯定する立場を示しました。
 原都議はお台場への巨大噴水の整備費が26億円、維持費は毎年2億円になると指摘。都庁に映像を投影するプロジェクションマッピング(PM)には3年間で64億円もの都税が投入されることも挙げ、「都民の暮らしが厳しさを増す中、巨額の都財政をつぎ込むことに批判が集まっている」と強調しました。
 その上で、噴水計画について共産党が開示させた都文書に、知事が意思決定した文書がなかったと告発。「いつ、どこで、どのように意思決定したのか」と追及しました。
 松川桂子港湾局長は「2022年12月に局の方針を決め、翌1月に知事に報告した」と答弁。原都議が再質問で「記録がないのに、どうして分かるのですか。記録を残さず知事に相談、報告、意向確認する場が存在しているということですか」とただしましたが、局長は答えませんでした。
 原都議は他に、神宮外苑再開発や大型道路建設の問題、気候変動対策、防災対策、PFAS(有機フッ素化合物)対策、新型コロナ対策、子どもの権利、学ぶ権利について、ジェンダー平等の課題、米軍基地対策、平和事業について質問しました

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