しんぶん赤旗に東京の高校生平和ゼミナールの活動を紹介する記事が掲載されました。
被爆者の声 絶やさない
日本政府に対し、核兵器禁止条約に署名・批准を求める「高校生署名」を、全国10の高校生平和ゼミナールが呼びかけています。東京高校生平和ゼミナールは2023年7月から毎月1~2回、学習会の前に街頭に立っています。自分の学校でも集めて昨年末までに目標の3000人分を突破しました。ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)と力を合わせ、提出する3月までさらに広げようと張り切っています。(染矢ゆう子)
高校1年の江波戸杏佳(えばと・きょうか)さん(16)は700人分以上集めました。東京高校生平和ゼミナールの署名推進委員長です。「学校では1、2年の半数以上から集まりました。呼びかけると、するっと書いてくれます。知り合いだから目を見て話せる」
空き教室で演説
署名を進めるため、校長や生徒会と話し合いました。朝、空き教室で署名に関して演説することをSNSで告知すると十数人が集まり、「被爆者の声を絶やしたくない。過去の出来事を聞いたら見て見ぬふりはできない」と思いを訴えました。自分のクラスでも訴え、友達も集めてくれました。SNSを見た2年生も協力してくれました。
学校外でも集めました。一方、街頭では応援してくれる人もいますが、多くの人は素通りしていきます。署名をしない学校の友達に理由を聞きました。「署名しても政府が変わらないと意味がない」と言われました。
昨年12月、外務省の担当者に「3月の核兵器禁止条約の締約国会議にオブザーバー参加してほしい。同世代に政治は変えられると伝えたい」と要望しました。日本被団協中央相談所委員長の山田玲子さん(90)も同席。担当者は被爆者の証言活動が世界で核兵器が使われなかったことにつながっているとのべ、「高校生が核兵器廃絶を真剣に考え、署名を集める活動に頭が下がる」と応じました。山田さんの体験を聞いた江波戸さんは署名をさらに集めようととりくんでいます。
自分から行動を
「核兵器をなくすため声をあげ続けてきた日本被団協がノーベル平和賞を受賞しました。戦争で核兵器が使われる可能性が高まっているいま、核兵器をなくそうという声を届けましょう。私たちの未来に核兵器はいりません」。高校2年の女性(16)はそう呼びかけるポスターを学校の玄関前に張り出し、署名を集めました。校長に許可をとり、職員会議でも報告し、朝登校する生徒に訴えました。
「平ゼミで初めて児玉(三智子)さんの被爆体験を聞きました。同じように苦しむ人が将来生まれないよう、つらい過去を語り、核兵器をなくす歴史をつくろうと呼びかけられた。体験を聞いた私が次の世代に伝えたいと街頭で訴えてきました。知り合いが多い学校ならもっと集まると思いました」
部活の先輩後輩に頼み、全学年につながるSNSにポスター画像を投稿。友達4人が一緒に集めてくれました。5日間で全校の4分の1以上にあたる319人分を集めました。
署名を一緒に集めた友人の一人は「楽しかった」。3月に署名を提出しに外務省に一緒に行く友人もいます。「巨大な問題に直面したときに一人の行動は無力に等しく見えるけれど、すごく大きいとわかった。これからも自分から行動を起こそうと思った」と女性は話します。
高校1年の女性(16)は昨年10月に学校の前で集めました。
「同じ学校の生徒や同世代に訴えたい」との思いからです。
授業のある日に校門の外で署名を集めると、十数人が協力してくれました。中学生や小学生に加えて、同じ高校の生徒も応じてくれました。「これまで学校の友達に署名のことを話したことはなかったけれど、学校の中でも一緒に運動できそうな人がいると思った。これから声をかけていきたい」
(「しんぶん赤旗」2025年1月4日付より)