地域公共交通の危機打開を 日本共産党都議団が提言

 身近なバス路線の減便・廃止、コミュニティバスの撤退など、都内各地で地域公共交通の危機が広がる中、日本共産党都議団は9日、地域公共交通の危機打開・充実に向けた提言を都庁で記者会見を開き、発表しました。夏の都議選の争点の一つとして訴えていくとしています。和泉なおみ、尾崎あや子、曽根はじめ、原純子、斉藤まりこの各都議が参加しました。

財政支援は都の責務
 和泉、尾崎両都議が提言について説明。和泉氏は、もともと東京の路線バスや鉄道は、都内各地から都心部に通勤・通学する人をより多く、より早く運ぶことを基本としてつくられてきたと指摘。そのため高齢化社会を迎える中、多くの人が身近な地域、生活圏域で暮らし続けるための交通網の整備は極めて不十分だと語りました。

解決への道筋一緒に考える
 その上で、大型道路の新規建設や拡幅への巨額な財政負担の削減や気候危機対策のためにも、地域公共交通危機の打開・充実は急務だと強調。「どこに問題があり、どうすれば解決できるのか、その道筋を都民のみなさんと一緒に考えるために提言をまとめた」と意義について触れ、「力を合わせて取り組みを進めましょう」と呼びかけました。

交通権・移動権実現目指す条例
 提言は8項目からなっています(表)。「1、交通権・移動権の実現」では、交通権・移動権を明文化した「国内交通基本法」を1982年に世界で初めて制定したフランスの先進事例にも学び、全ての都民の交通権・移動権の実現を目指す「東京都地域公共交通基本条例」の制定を提案。交通空白・不便地域をなくすことを条例に定めるとしました。
 「2、財政支援を強化します」では、地域公共交通の多くが民間事業者に任され、運賃収入で採算をとるのが当然とされているのに対し、フランスやドイツでは運賃収入は総事業費の3~4割で残りは国や自治体などが補てんしていると紹介。不採算でも支えることが必要な「公共サービス」という立場への大転換が必要だと強調します。
 都では「基本条例」で地域公共交通全体を「公共サービス」と位置づけ、財政支援を「都の責務」とし、「補助制度」実施やコミュニティバスへの補助制度を抜本的に拡充します。

運転手不足解決へ賃金アップに補助
 「3、バス運転手の賃金を引き上げ、待遇改善を進めます」では、深刻化するバス運転手不足の対策が急務だとし、都内の民間路線バス運転手の賃金を都バスと同水準に引き上げるための補助制度を実施。免許取得を支援する養成事業や民間バス会社が実施する運転手の養成・確保対策への財政支援も行います。
 女性運転手が働きやすい環境への改善や採用拡大の取り組みを支援します。
 「4、競争から協働へ」では、規制緩和路線から転換したイギリスや「準公営化」した韓国・ソウル市などに学び、「競争」から「協力・協働・連帯」へ180度転換を目指します。そのための都と区市町村、全ての地域公共事業者による「地域公共交通事業者協議会」を設置し、都内の地域公共交通全体の運賃の負担軽減、利便性の向上を進めます。
 提言は日本共産党都議団のホームページから閲覧することができます。

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