運動と論戦が後押し共産党都議団値下げさらに
70歳以上の都民が都営交通(都バス、都営地下鉄、都電など)と都内民営バスを利用できる「シルバーパス」について、東京都は20510円のパス(現在は住民税課税所得が135万円を超える人)を12000円に新年度から減額する方針を明らかにしました。以前から無償化を含めて負担軽減を求めてきた日本共産党都議団は、負担軽減を評価する一方、引き続き2月開会の予算議会でも求めていく考えです。
シルバーパスは「高齢者の社会参加を助長し、もって高齢者の福祉の向上を図ること」(シルバーパス条例)を目的に革新都政時代に始まり、2000年までは70歳以上の都民の多くに無料(所得制限あり)で都が交付していました。通院や買い物、友人を誘い合っての行楽など、年金で暮らす多くの高齢者にとって、日常生活に欠かせない頼もしい存在となっていました。
ところが「何が贅沢かと言えば、まず福祉」と述べて福祉を「敵視」した石原慎太郎知事(当時)によって、全面有料化(2000年10月)が打ち出されました。反対運動が大きく広がり、都議会では共産党が反対しましたが、自民、公明などの賛成多数で強行されました。
実施主体も都から東京バス協会(都は支援)にされ、現在は住民税非課税者と合計所得135万円以下は年1000円、それ以外の同課税者は年20510円になり、希望者本人が購入することになりました。
20510円パスは激変緩和があったものの、当初から高すぎるとの声があり、パスの発行枚数は激減。70歳以上の7割超が利用していたのが、23年度には約4割になりました。
20510円パスは、この10年で70歳以上人口が1・8倍近くに増加しているのに、発行枚数は逆に約1万枚も減っています。
新日本婦人の会東京都本部が昨夏、シルバーパスの改善を求める請願署名とともに取り組んだアンケート調査では、問題に感じていることのトップは「価格が高い」でした。「価格が高いので利用できない」「高齢者が外出しやすくするためには、本来は無料にするのが当たり前」などの声も多数寄せられました。都が2018年度に行った制度のあり方についてのアンケート調査でも20510円の利用負担について「高いと思う」が最多でした。
また、新婦人のアンケートでは「最寄りの鉄道はJRや京王線で、シルバーパスが使えない」「コミュニティバスで使えない」など、利用できる交通機関が限定されていることに問題を感じている声も多数ありました。都のアンケートでも、シルバーパスのこれからのあり方に対する考えで、70歳以上の都民で2番目に多かったのが「鉄道やモノレール等で利用可能にする」でした。
共産党条例案に5会派が賛成も
日本共産党都議団は無料化を含む負担軽減と多摩モノレールやゆりかもめ、各自治体のコミュニティバス等への利用交通機関の拡大、都県境をまたぐ路線で乗車や下車するバス停が都外でも利用できるようにするなど、「もっと安く、もっと使いやすく」と、繰り返し改善を提案。他会派との共同も追求してきました(表参照)。
小池知事は昨夏の都知事選で「シルバーパスの改善」「多摩モノレールを対象に」と公約。昨年の12月議会では共産党が提出した一律1000円や利用交通機関を拡大するなどを盛り込んだシルバーパスの条例改正案が5会派39人の賛成を得るまでに広がりました。
こうした中、不十分とはいえ、4 割近い12000円への値下げ方針が打ち出されたことは、貴重な前進です。
妨害してきた自、公、都ファ
一方、自民党や公明党は2000年の全面有料化に賛成しました。また、自民党、公明党、都民ファーストは共産党提案の負担軽減や対象拡大を求める条例改正案や都民提出の陳情・請願に反対してきました。「多くの高齢者にとって利用しやすい制度へと改良されました」と言うのであれば、なぜこれまで負担軽減の提案に賛成してこなかったのか、説明責任が問われます。