都議選政策アピールを発表

日本共産党東京都委員会は2月6日、都議選に向けた政策アピールを発表しました。

アピールの全文を紹介します。(PDFはこちら

都議選政策アピールを発表する田辺良彦・東京都委員長(中央)、和泉なおみ都議団幹事長(左)、栗原淳介・都政策部長(右端)

日本共産党の躍進で、都民の暮らしを守り抜く都政への転換を

――2025都議選に向けて都民のみなさんに呼びかけます――

                             

2025年2月6日 日本共産党東京都委員会

都民のみなさん

 東京都議会議員選挙が、6月13日告示、22日投票でおこなわれます。この都議選は、都民の暮らしにとって重要な意義をもつとともに、首都の政治決戦として、連続する7月の参議院選挙はもちろん、いつおこなわれてもおかしくない衆議院の解散・総選挙を含めて、国政に大きな影響をあたえます。

 日本共産党は2013年、17年、21年の3回の都議選で連続して躍進し、自民党、都民ファーストの会、公明党と肩を並べる勢力となりました。都議会での政党間の力関係が変わるなか、日本共産党は都議会における野党第一党として、都政のチェック機能を発揮するとともに、都民要求実現の政策を質問や条例案などで次々と提案し、都民の運動と力を合わせて世論を広げ、政党・会派の共同も広げて、都政を大きく動かしてきました。

とくにこの4年間には、日本共産党が中心的公約として掲げてきた学校給食費無償化、シルバーパス値下げ、補聴器購入費助成の拡充、子ども医療費助成の18歳までの拡大と所得制限撤廃などを実現しました。いずれも、当初は自公ファと小池知事が後ろ向きな態度をとってきた政策です。また、痴漢ゼロ、理不尽な校則の見直しなどを提起し、政治の課題に押し上げてきました。

 都民の立場で都政をリードする日本共産党がさらに伸びれば、もっと都民の願いが届く都政に変えることができます。

 日本共産党は、来るべき都議選で、現有19議席を必ず確保し、さらなる躍進をめざします。異常な物価高騰が家計を圧迫する中、都民の暮らしを守り抜く都政に変えるため、そして、首都東京から日本の政治を変えるため、ぜひ日本共産党を躍進させてください。

自民党の裏金政治に都議選でもきびしい審判を

 日本共産党の「しんぶん赤旗」のスクープで、都議会自民党でも組織的な裏金づくりがおこなわれていたことが、明らかになりました。2019年12月に開かれた政治資金パーティーの券を、議員一人当たり200万円分くばりながら、100万円だけ収めればよいと、幹事長が指示していました。「ずさんな管理」による収支報告書不記載ではなく、裏金づくりの方針を組織的に徹底していたのです。このことを示す都議会自民党の内部文書を、日本共産党都議団が記者会見で公表しました。

 裏金づくりは2022年にも行われ、あわせて26人の都議らが関与していました。都議会自民党は収支報告書の修正で済ませようとしていますが、許されません。裏金の全容を明らかにし、責任をとるべきです。

 日本共産党は、都議会でも国会でも、自民党の裏金事件を徹底追及します。腐敗の大もと、企業・団体献金禁止へ全力をあげます。昨年の総選挙に続き、都議選でも、裏金自民党にきびしい審判を下しましょう。

いまこそ都政を変えましょう――日本共産党の4つの改革提案

日本共産党は、都民の願いが届く都政へ、4つの改革に取り組みます。

さらに都民のみなさんのご意見をお聞きして政策を練り上げていきます。

1.物価高の今こそ「暮らし第一」の都政に変えよう

 お米も野菜も驚くほどの値上がりで、家賃も大学の学費も上がり、悲鳴の声があがっています。賃上げは物価高騰に追いつかず、年金は目減りするなど、都民のくらしは深刻です。

 ところが、自民党・公明党・都民ファーストの会が支える小池都政(自公ファ都政)は、この間、国民健康保険料(税)の値上げなど、都民に追い打ちをかける負担増を押しつけてきました。新年度予算案でも、最も光を当てるべき物価高騰対策はきわめて不十分で、前年度比3.2%、52億円しか増やそうとしません。一方で、都庁舎などに映像を映すプロジェクションマッピング事業に3年間で64億円以上、お台場海浜公園に「世界最大級」の巨大噴水を建設する整備費26億円、維持管理費年2億円を投入しようとしています。都政の光を当てるところが間違っています。

 都民の暮らしを守り抜くことを第一とする都政への改革が、痛切に求められています。

(1)東京都として、賃上げ支援を大規模におこなう

 暮らしの困難打開のカギとなるのは賃上げです。東京の事業所の9割、雇用の7割を担っているのは中小企業、小規模事業者ですが、物価高騰が直撃し、価格転嫁が追いつかず、厳しい経営が広がっています。中小企業、小規模事象者での賃上げを進めるために、都政が大規模に賃上げ支援をおこなうべきです。

 自公ファ都政の現行の「魅力ある職場づくり推進奨励金」は、職場環境改善の2つ以上の取り組みが支給要件で、賃上げだけでは支援は受けらません。2023年度は、応募のべ5,695社に対し奨励金を受けられたのは159社、わずか2.8%でした。岩手県や徳島県の中小企業等への賃上げ支援は、賃上げだけが要件の直接支援です。東京こそ、賃上げへの直接支援をおこなうべきです。

●緊急の支援策として、賃上げだけを要件とするシンプルで使い勝手のよい「賃上げ応援助成金」制度を創設します。まずは1人あたり12万円、1社20人で、非正規を含む賃上げ支援を、1万社(年間20万人)を対象にスタートさせます。

 東京都の公共工事や委託事業で働く人の労働諸条件を適正に保障する「公契約条例」を制定して、賃上げを推進することも、都の努力でできることです。世田谷区は条例で、発注工事の時給の下限を、都内の最低賃金1,163円を大きく上回る1,460円に引き上げました。東京都が発注する契約は年間9万件、総額1.7兆円です。その時給の下限を引き上げれば、大きな賃上げ効果を波及させることができます。

 ●都が発注する工事や業務で働く人の賃金を時給最低1500円以上にします。そのために、都と受注する事業者との間で結ばれる契約に、生活できる賃金など人間らしく働くことのできる労働条件を定める「公契約条例」を制定します。

(2)すべての世代が安心と希望を持てる東京へ、医療・介護・福祉の充実を

 物価高騰と国による社会保障削減の中、都民の経済的負担を軽減し、命と健康を守り、暮らしを支える医療・介護・福祉の充実が求められています。

 国民健康保険料(税)が上がり続けています。自公政権と自公ファ都政が区市町村に圧力をかけ、国保料(税)の負担軽減のための予算が、この10年間で半分以下に減らされました。このため、たとえば給与収入400万円の4人世帯の国保料(税)は、かつて東京は革新都政のときに負担できる国保料にする政策を進めたため全国では安い方だったのに、今や全国上位26自治体のうち21を東京の自治体が占める状況になっています。にもかかわらず、自民・公明・都民ファなどは、国保料(税)の負担軽減を求める都民の請願に背を向け、否決してきました。

 改善を求める都民の運動が広がっている障害者福祉手当は、28年間1円も上げられていません。

 自公ファ都政は、とりわけ高齢者福祉には非常に消極的です。都財政(決算)に占める老人福祉費の割合は、石原都政の前年の1998年度には47都道府県中2位でしたが、直近の2022年度には46位にまで、まさに最下位レベルにまで低下しています。

 都立病院も独立行政法人化が強行されるなか、人材確保の困難が広がり、休止病棟は21棟、休止病床は705床にのぼり(2025年1月時点。これは中規模の病院2つ分に匹敵する規模)ます。

●国民健康保険料(税)は1人3万円引き下げ、18歳までの均等割をゼロ円にします。後期高齢者医療保険料の負担を軽減します

●介護、障害者福祉、保育・学童保育、児童養護施設など福祉労働者の賃金を引き上げます。これらの施設に物価高騰に見合う運営費への支援をおこないます。訪問介護事業所への特別の支援をおこないます。

●閉鎖している都立病院の病棟や病床の再開をめざすとともに、行政的医療を拡充するために医師・看護師など常勤職員を抜本的に増やします。

●心身障害者(児)医療費助成の対象を拡大します。障害者福祉手当、重度障害者手当を増額します。障害のある青年・成人の余暇活動を都の全額補助で支援します。

●高齢者の医療費助成に踏み出します。

(3)子育て・教育の負担軽減を

日本は教育費が高すぎるなど、子育て・子どもに冷たい国です。この間、都民の世論と運動、日本共産党の奮闘で、018サポート、子ども医療費助成の18歳までの拡大と所得制限撤廃、保育料の無償化、都内全自治体での学校給食費無償化、都立・私立高校や都立大学の授業料無償化などが実現してきました。物価高騰が進む中、子育て・教育費用のいっそうの負担軽減が求められています。

●出産育児一時金を都独自に増額するとともに、妊婦健診の自己負担を無料化するなど、妊娠・出産にかかる費用の無料化を進めます。

●ひとり親家庭を支援するため、28年間増えていない都独自の児童育成手当を増額します。

●教育の無償化に向けて、修学旅行費と学用品の負担軽減、私立高校の入学金・設備費などの補助制度創設、都立大生に限らない大学生などの給付型奨学金の早期実現をめざします。

(4)シルバーパス、子ども料金など、交通費の負担軽減を

20,510円のシルバーパスが新年度から値下げされますが、それでも年12,000円=月1,000円は、物価高騰と年金切り下げのもとでの高齢者の暮らしには、重い負担です。対象交通機関拡大の要求にも、まだ応えられていません。

●シルバーパスを年間1,000円へ引き下げ、無料に戻すことをめざします。多摩モノレールやコミュニティバス、都県境をまたぐバス路線などへ適用を拡大します。

 子どもの交通費負担軽減も切実な願いです。そもそも現行の6歳未満無料、12歳以下半額、中学生以上大人料金という子ども料金の設定は、80年以上前に国が決めたものであり時代遅れです。ヨーロッパでは18歳、19歳まで無料が主流です。

●公共交通の子ども料金を18歳まで拡大するよう、関係機関・事業者と協議し実現をめざします。まず都営交通を50円とします。

●通学定期券代の負担軽減、学生向け割引フリーパスの創設などに踏み出します。まず都営交通から始めます。

日本共産党には暮らしを守る政策実現の実績があります

 日本共産党都議団は、都政を厳しくチェックする役割をはたすと同時に、都民の運動と連携して前回都議選での公約を実現してきました。

【学校給食無償化】

 年5~6万円の学校給食費は子育て世帯に重い負担でした。

日本共産党都議団は、都民の運動とむすんで、都による給食費の負担軽減・無償化を求め続け、2017年からは4回にわたり条例提案もしてきました。小池知事は「国の責任と財源によるべき」「区市町村の判断」という答弁で実施を拒み続け、自公ファなども共産党都議団の提案をすべて否決しました。

都・区市町村での共産党議員団は、2018年の参院文教科学委員会で日本共産党の吉良よし子議員が給食食材費を自治体が全額補助することを「否定されない」とする文部科学省の答弁を引き出したことを力に、議会で論戦を繰り広げました。こうした中、都民の運動を背に、2022年から23年にかけて、無償化に踏み出す自治体が急速に広がりました。

それでも都議会の自公ファは23年11月、無償化を求める都民の請願を不採択にしました。これに対し、共産党都議団は他会派にも呼びかけ、無償化条例案を4会派共同で提出すると表明。すると、小池知事が一転して、12月議会で「給食費の負担軽減に大胆に踏み出す」と態度を変えました。条例案は自公ファなどの反対で否決されましたが、議員の3分の1が賛成し、都は24年度から無償化支援に踏み出し、23区はすべて無償化が実現しました。

さらに財政力が弱い市町村も無償化できるようにと、共産党都議団が都に財政支援を求め、25年1月(3学期)から東京のすべての自治体で学校給食無償化が実現しました。 

【シルバーパスの料金引き下げ】

高齢者の健康と生きがい、社会参加にとって、シルバーパスが果たしている役割は重要です。新年度予算案に、年間20,510円のシルバーパスを12,000円に4割値下げすることが盛り込まれました。都民の運動と日本共産党都議団が切り拓いた成果です。

シルバーパスは、かつては大半の人が無料でしたが、25年前に自民党、公明党などの賛成で全面有料化されました。負担軽減を求める都民の運動が続き、都議会にくりかえし請願・陳情を提出しましたが、自公ファが不採択に。共産党都議団は都民の運動と連携し、2017年以降だけでも5回にわたって負担軽減の条例提案をおこないましたが、いずれも自公ファなどにより否決されました。

しかし、共産党都議団が連続躍進し力をもつなかで変化が生まれ、昨年12月提出の条例案は、自公ファと自由を守る会、東京維新の会などの反対で否決されたものの、共産党を含む5会派39人、都議会議員の3分の1が賛成しました。こうした力が小池知事の態度を変えさせ、ついに重い扉をこじあけました。

【補聴器購入費補助の拡充、保育料の無償化も実現】

難聴に悩む高齢者は多く、コミュニケーションの困難で日常生活に支障をきたすだけでなく、認知症やうつの原因となる可能性もあります。補聴器を適切に早めに使用すれば支障を回避し日常生活の質の向上を図ることができますが、高価なため、購入を自治体が補助することが求められてきました。

日本共産党都議団は、当事者や専門家の協力を得ての議会質問、公開学習会開催、2回の条例提案などで、都の補聴器購入費補助の拡充を求めてきました。条例案は自公ファの反対で否決されましたが、2024年度から都の補助制度の充実が実現しました。これも力になり、補助にとりくむ自治体が21年度の15から24年度には36に広がっています。新年度予算案では、都内52区市町村で実施できるよう予算が増額されています。

 保育料の無償化は、日本共産党都議団が2020年の予算要望から要求してきましたが、とくに24年には9月と12月の議会でくりかえし要求し、新年度からの実現となりました。

【予算組み替え案を毎年提出】

日本共産党都議団は、提案する政策のすべてに財源の裏付けを持っています。毎年の予算議会に、予算案全体の歳入と歳出の両面にわたる組み替えを提案しています。たとえば2024年度予算では、一般会計予算のわずか3.8%の組み替えで121項目にわたる都民の切実な要望を実現する具体的提案をおこないました。新年度予算にも提出する予定です。こうした予算組み替えを毎年提案している政党は、都議会では日本共産党だけです。

そもそも東京都政は、都民の願いに応える大きな財政力を持っています。新年度の予算案は、一般会計だけで9兆1,500億円、特別会計などを合わせた全会計で過去最高の17兆8400億円、これはスウェーデンの国家予算に匹敵します。都税収入が24年度当初予算にくらべて5,400億円以上増えて、これも史上最高になっています。

この巨大な財政力を、都民の暮らし応援にしっかり活かす都政へと、改革していこうではありませんか。そのためにも、都政を動かす働きをしてきた日本共産党を都議会で伸ばしてください。

2.「財界ファースト」の大型開発でなく、都民の声が生き、住み続けられる東京に変えよう

(1)「住まいは人権」の立場から、住宅費高騰を抑え都民の住宅確保・費用を支援

23区のマンション販売価格が4年間で1.5倍に急騰し、ファミリー向け賃貸の家賃も1年間で1.2倍に高騰しました。2024年の新築マンションの平均価格は1億1,181万円で年収の18倍にもなり、バブル期を超える異常事態です。

価格高騰の背景には、工事費の値上がりだけでなく、転売目的の投機マネーの存在があります。異次元の金融緩和と規制緩和で、住宅を投機の対象にしてしまった国と東京都の責任は重大です。大手デベロッパーの要求にこたえ、「特区」などにより、都市計画決定プロセスを骨抜きにし、超高層ビル建設のための容積率や利用規制の大幅緩和をし、さらに、大手不動産開発業者への税制優遇、国有地・都有地の格安払い下げなどで、大型再開発を支援してきました。国民・都民の税金・財産を使って大手不動産開発業者を大もうけさせ、投機マネーを呼び込んで、都民が住み続けられない東京にしてしまったのです。

この大もとを正し、住宅費の高騰を抑えることが必要です。

同時に、都民の住宅費負担が厳しい状況にあるだけに、新たな住宅政策が求められています。しかし、小池知事が公約した「手ごろな家賃のアフォーダブル住宅」は、低所得者向けにはならず、供給の規模は微々たるものです。応募者が殺到する都営住宅の新規建設は、26年間連続ゼロが続いています。家賃補助にも背を向けています。

日本共産党は、都民の住宅確保・費用を支援し、「住まいは人権」の立場に立つ都政へと改革します。

●住宅困窮世帯や子育て世帯、若者や高齢者、シングル女性などへの家賃・住宅費補助制度を創設します。

●価格高騰を沈静化させるためにも、ファミリー世帯など中堅所得者層向けの低廉な公共住宅の大規模供給をすすめます。都営住宅を、新規建設の再開と、建て替え時の増設、公社住宅などを利用した「借り上げ都営住宅」により10年間で10万戸増やします。

●外国人投資家等による住宅市場への投機について規制・課税を強化します。「特区」を見直すなど、大手デベロッパーへの減税・優遇の仕組みをあらためます。

(2)ムダづかいの大型開発はやめ、税金は暮らしに。街こわし、環境破壊は許さない

 自公ファ都政は、都の巨大な財政力を、財界の目先の利益のための再開発や大型道路建設に注ぎ込んでいます。新年度予算案で、築地、新宿、港南・高輪、泉岳寺などの再開発に240億円、外環道や特定整備路線など大型道路建設に510億円など、「財界ファースト」の事業に巨額の予算がついています。税金の使い方を暮らし優先に切り替えるべきです。

 調布で陥没事故が起きた東京外かく環状道路(練馬・世田谷間)は、事業費が倍に膨張し、さらに陥没事故への対応や工事費増大で事業費が膨らむ見込みです。コストが便益を上回るのは必至で、整備する意義が根本から問われます。自公ファは、外環道を湾岸道路まで延長しようとしていますが、整備費は3兆円以上で、いっそうムダづかいになります。

 大深度地下工事は地上に影響を与えないことが前提でしたが、外環道工事では陥没事故を起こし、リニア新幹線工事でも地上に気泡が噴出し、住民の不安が広がっています。

 神宮外苑などの再開発に対し、景観と樹木を守れと運動が広がっています。特定整備路線など都市計画道路をめぐっても、街こわしに各地で反対の住民運動が広がっています。

 各地の再開発は、「国際競争力の強化」と称して、大企業が利益を上げやすい東京にしようと進められています。神宮外苑、晴海の東京オリンピック選手村、築地市場跡地などでのムダづかい、街こわし、環境破壊の再開発の裏には、自公ファ都政、自民党政治家と大手デベロッパーとの癒着、「都政の闇」があります。

●神宮外苑再開発計画を中止し、抜本的に見直します。伐採・移植はただちに止めます。環境影響評価条例を強化し、外部の専門家や市民の声を反映させる制度に改善します。

●住民合意のない不要不急の道路建設は中止します。外かく環状道路やリニア中央新幹線の建設は中止します。

●超低空飛行の羽田新ルートを中止します。

(3)気候危機打開の先頭に立つ都政に

東京都の温室効果ガスの年間排出量は約6千万トン、2000年比半減の目標に対し、たった4.4%しか減っていません。都が新たにかかげる削減目標も、世界の水準から大きく立ち遅れています。費用がかかりすぎる水素事業からの撤退が世界各地で進んでいるのに、「水素が切り札」などと言って181億円もの予算をつけているのは、化石燃料に固執する財界の要求にこたえるものです。

●「東京で2035年までに脱炭素80%」を都政の目標にすえ、①石炭火力と原子力発電からの撤退、②火力発電を延命させる水素利用の中止、③キャップ&トレードの対象拡大、④CO2を莫大に排出する開発の規制を実行します。

●分譲マンションや賃貸住宅の断熱改修・省エネ化を進めます。

●樹木の枝葉で覆う面積である「樹冠被覆率」を調査・公表し、区部で20%など目標を持ちます。

●幅広い都民が気候変動対策、脱炭素について議論し、知事に答申・建議することができる「気候都民会議」を設置します。

(4)交通権・移動権の実現へ、地域公共交通の危機を打開・充実

 都内各地でバス路線の減便・廃止など、地域公共交通の危機が広がっています。都は区市町村の取り組みを支援(コミュニティバスなどの運行費への補助)するにとどまらず、広域自治体としてより主体的に取り組むことが必要です。

●バス路線の維持、運転手不足の解消のための制度を創設するとともに、支援を抜本的に強化します。

●コミュニティバス、デマンド交通の運行経費に対する補助制度について、補助期間の上限をなくし、補助額・補助率、補助の対象を拡大します。

(5)政治の責任で災害を未然に防ぐ防災対策を推進

都内の住宅耐震化率は92%とされていますが、これはマンションも含む数字です。木造戸建て住宅の耐震化率は86%です。気候変動の影響で、風水害も激甚化しています。政治の責任で、被害を未然に防ぐ対策の強化が重要です。避難所の劣悪な環境の改善も急務です。

●「倒壊ゼロ」「自己負担ゼロ」での木造住宅の耐震化に、予算規模と速度を上げてとりくみます。

●「スフィア基準」を指針に、トイレ、キッチン、ベッド、水の確保など、避難所運営指針を改善し、その水準で区市町村が避難所運営できるように支援します。

●マンションの耐震への支援を拡充するとともに、在宅避難について対策を強化します。

●総合治水対策の予算を大幅にふやし、グリーンインフラを進めます。

3.一人ひとりの人権を大切にしジェンダー平等を進める東京に変えよう

(1)個人の尊厳、ジェンダー平等を、都政のあらゆる分野に徹底する改革を

 世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数」で、日本は118位、ジェンダー後進国です。都政においても、個人の尊厳を守り、ジェンダー平等を真剣に進める政治への転換が求められています。

 昨年、都のスクールカウンセラーが250人も大量に雇い止めされ、大問題になりました。雇い止めされた多くが女性でした。都の会計年度任用職員は、現役世代では7割が女性で、多くが専門職です。この制度の現状は、女性に低賃金と不安定雇用を強い、差別を生み出しています。

 小池知事は「女性活躍」とばかり言い、ジェンダー不平等な社会の構造を変えようとはしません。また、関東大震災での朝鮮人虐殺への追悼文送付を中止し続けています。

 個人の尊厳、ジェンダー平等を、都政のあらゆる分野に徹底していく改革が、強く求められています。日本共産党都議団は、この立場からの提言、申し入れ、議会質問を重ねてきました。この4年間のとりくみで、「痴漢ゼロ」を都政の重要課題に押し上げ、さらに国会議員団とも連携して国政の課題にもしてきました。力を合わせて、個人の尊厳を守り、ジェンダー平等を進めることを本気で中心課題とする都政へ変えましょう。

●ジェンダー平等推進条例を制定します。

●男女賃金格差の是正にとりくみます。都の会計年度任用職員の雇用の安定化をすすめ、継続して必要な仕事は正規にします。

●痴漢・盗撮ゼロの東京へ、対策を強化します。

●子どもたちが年齢・発達に即した科学的な「包括的性教育」を受けられるようにします。

(2)子どもの権利を真ん中にすえて教育の充実を

自民党政治のもとで、学校教育は競争と管理が加速し、子どもの発達と権利がないがしろにされています。不登校の子どもが10年で3倍以上に増えています。異常な長時間労働のなか、教員不足が深刻化し、担任のいないクラスがあちこちで生まれています。子どもたちが行きたくなる学校、若者が教員になりたくなる学校づくりへ、支援が求められています。

小池知事は知事選で「中学校の35人学級」を公約しながら、新年度予算案にありません。困難を抱える子どもたちに教育機会を保障する夜間定時制高校の廃止を強行しようとしています。朝鮮学校への都の補助金を停止したままです。

2022年度に始められた英語スピーキングテストの都立高校入試への利用は、公平性・公正性が担保できず、中止を求める声が広がっています。ところが、同テストの都立高校入試への利用の中止を求めた請願を、自民、公明、都民ファーストは否決し、破綻が明瞭な同テストを継続しようとしています。

子どもに関するあらゆる施策を、子どもの権利の保障の見地で発展させていくことが、都政改革の重要課題となっています。この間、日本共産党都議団は、「ツーブロック禁止」「下着の色指定」など理不尽な校則に対して問題提起し、都でも国でも見直しが進められてきました。子どもは権利の主体であることを明確にした「こども基本条例」の制定でも、大きな役割を果たしてきました。子どもの権利を真ん中にすえた教育の実現に、さらにとりくみます。

●中学校全学年での35人学級、小学校での30人学級を早期に実現します。長時間労働を改善し、「教員不足」を解決するため、正規教員を大幅に増やします。

●学校をのびのびできる場所にするとともに、支援員の配置など不登校対策を充実させます。不登校の子どもたちの居場所を支援し、フリースクール利用者の経済的負担を軽減します。

●公平性・公正性を担保できない英語スピーキングテストの高校入試への利用を中止します。

●都立夜間定時制高校を存続させます。朝鮮学校への補助金を復活します。

●身近な地域に小規模の特別支援学校を新増設し、教室不足を解消するとともに、よりよい教育環境を確保します。

4.アメリカいいなりで戦争への危険な道から平和な東京に変えよう

(1)首都のど真ん中ですすむ日米軍事一体化に「ノー」を

 石破自公政権は「日米同盟強化」の名のもと、敵基地攻撃能力保有と空前の大軍拡、日米の指揮・統制の一体化を進め、「戦争国家」づくりの道を暴走しています。さらにトランプ米新政権のもとで、さらなる大軍拡への圧力が強まろうとしています。アメリカいいなりで憲法をこわし、国民を戦争の危険にさらす歯止めなき大軍拡にストップをかける審判を東京から下しましょう。

 東京では、オスプレイ配備による横田の特殊作戦基地化がすすみ、米軍は在日米軍司令部を横田基地から都心にある赤坂プレスセンター(麻布ヘリ基地)に移転する計画を検討しています。在日米軍司令部は作戦指揮権を持つ統合軍司令部への格上げが決まり、米軍と自衛隊との指揮・統制の一体化がいっそうすすめられようとしています。軍事対軍事は危険な悪循環となります。

都政がやるべきは、核ミサイルによる報復攻撃に備えたシェルター整備ではなく、憲法9条を生かした外交で平和をつくるよう国に働きかけることです。

 首都ですすむ日米軍事一体化に、都議会でノーの声をあげている政党は日本共産党だけです。ご一緒にノーの意思を示そうではありませんか。

●事故を繰り返すオスプレイの撤去、横田基地など米軍基地の撤去を求めます。在日米軍司令部の赤坂プレスセンター(麻布ヘリ基地)への移転は許しません。

●被爆80年であり、「非核平和都市宣言」をおこない、東京から核廃絶を世界に発信します。日本政府に核兵器禁止条約にすみやかに参加することを求めます。

●東京都平和祈念館の建設に踏み出します。

(2)PFAS汚染の除去――横田基地への立ち入り調査ふくめて徹底的に

都内各地で検出されているPFAS(発がん性が指摘される有機フッ素化合物)の最も主要な汚染源の一つとして指摘されているのが、横田基地です。横田基地では長年に渡り、PFASを含む泡消化剤による消火訓練が行われてきました。日本共産党都議団は、この問題での横田基地への立ち入り調査を強く求めてきました。

昨年8月の豪雨により、横田基地の消火訓練エリアの貯水池からPFASを含む水約4万8,000リットル(PFOSとPFOAが合計で1リットルあたり1620ナノグラム含まれ、国の水道水の暫定指針値の32倍、米基準値の405倍に達する)があふれ出し、基地外に流失した可能性の高い事故が発生しました。米側は12月、横田基地内での説明会をおこないましたが、徹底した立ち入り調査が必要です。

PFAS汚染から都民の健康を守るために、都がPFAS対策に徹底的に、継続的に取り組むよう求めていきます。

●水道水や農産物、地下水、土壌等の汚染状況と、汚染源についての調査を行い、除染などの対策を行わせます。

●血液検査を含めた市民のPFAS汚染の健康調査を進めます。

●アメリカ軍の責任で本国と同様に、補償と対策を行わせます。

日本共産党都議団の力の源泉

以上述べてきた「政治とカネ」の問題でも、「都政の4つの改革」でも、都政を貫いている対決構図は、「自公ファ対日本共産党」です。一方には小池都知事になんでも賛成の与党=自民党、都民ファーストの会、公明党があり、他方には都政へのチェック機能を果たしながら都民要求実現の政策を積極的に提案する野党第一党=日本共産党があります。

この対決構図のもとで、日本共産党都議団が積極的役割を発揮している、その力の源泉は何でしょうか。

1.草の根で住民と結びつき、力をあわせてその願いの実現のために全力をつくす党

都議団は、一人ひとりの都議がつかんだ都民の声を本当に大切にして、論戦に生かしています。「国民の苦難の軽減」という立党の精神に立って、不屈に粘り強く奮闘しています。19人の陣営があるからこそやれる新しい課題への開拓・挑戦もあります。減らすわけにはいかないし、増やせばさらにきめ細かな展開が可能になります。

多摩格差解消・多摩振興を都政の柱にすえて推進するためにも、草の根で住民と結びつく日本共産党の都議を、多摩地域から必ず送り出し、増やしていくことが重要です。

2.財界中心、日米同盟絶対の「2つのゆがみ」に切り込むホンモノの改革の党

政治とカネの問題も、暮らしを守る都政も、「財界ファースト」からの転換も、ジェンダー平等と人権でも、アメリカ言いなりからの脱却も、いずれも「2つのゆがみ」にメスを入れてこそ解決できる課題です。

政策なしの選挙目当ての「政党」では都政を動かせるはずがありません。

3.都議会野党第一党として、議会の中でも外でも共同をひろげ都政を大きく動かす党

この4年間の大きな特徴は、多くの場面で、それ以前とは違って議会内のおよそ3分の1の勢力が都民要求の立場に立って力を合わせるようになったことです。

日本共産党都議団は、国会で言えば106議席に相当する勢力です。4年間で20本以上の政策条例を提案し、多くの会派・都議会議員が賛成する変化をつくりだしてきました。また、毎年の予算組み換えを提案してきました。

都民のみなさん

ぜひ、この党の議席を増やしてください。ご一緒に、都民の願いを実現し、暮らし第一の都政に変えましょう。

                                        (〆)

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