運動と論戦で多くの成果 物価高対策は不十分

 東京都は1月31日、2025年度当初予算案を発表しました。一般会計は前年度から7050億円(8・3%)増で、過去最大の9兆1580億円となりました。都に集中する大企業を中心にした税収増を背景に4年連続過去最高を更新し、9兆円を超えたのは初めてです。特別会計と公営企業会計を合わせると17兆8497億円(前年度比1兆2913億円、7・8%増)に上り、スイス一国の国家予算(約14・7兆円)を上回りました。

 日本共産党都議団の和泉なおみ幹事長は予算案について、同日発表した談話で「都民運動と日本共産党都議団が切り拓ひらいた成果」が盛り込まれていると強調する一方、「最も光を当てるべき物価高騰対策は極めて不十分」だと指摘。「豊かな財源で都民を支え安心して暮らせる、希望のもてる東京の実現を目指す」として、都議会野党第一党19議席の力を生かして条例提案や予算組み替え提案をしていくとしています。

シルバーパス4割負担軽減
 「切り拓いた成果」(和泉幹事長談話)の一つが、シルバーパス(70歳以上のバス・都営交通乗車証)の負担軽減です。2万510円パス(住民税課税の人)を1万2000円に4割引き下げる費用が盛り込まれました。
 石原都政が2000年度に自民・公明両党などの賛成で全面有料化を強行して以降、日本共産党は多くの都民と連携して負担軽減を要求。条例提案は2017年度以降だけでも5回にわたりますが、自公などの反対で否決され続けてきました。
 一方で負担軽減を求める声は広がり、昨年12月議会に提案した負担を一律1000円にする条例案は自民、公明、都民ファースト、維新、自由を守る会などの反対で否決されたものの、5会派39人が賛成するまでに変化が起きていました。さらなる負担軽減が求められています。
 高齢者の暮らし支援では、認知症の要因とされる加齢性難聴の対策としても有効な補聴器の購入費補助を行う区市町村支援を拡大。予算規模を32から52自治体に増やします。高価なため補助を求める運動が広がる中、実施自治体が増えています。また、後期高齢者(75歳以上)の歯科健診の支援事業が新たに盛り込まれました。オーラルフレイル(口腔機能の衰え)対策のため歯科健診を自己負担なしで実施する自治体を支援します。

子育て支援・教育一子から保育無料
 昨年の補正予算で財政支援が拡充され、全市区町村に広がった学校給食無償化への支援(23区2分の1、市町村8分の7)は、来年度も継続します。第2子以降からだった保育料無償を第1子にも拡大する予算が盛り込まれました。
 出産・子育て応援事業による、出産後の経済的支援を1人5万円増やします。国基準を上回る都独自の基準でつくられる東京都認証学童クラブ事業に新たに24億円の予算を計上。また、児童相談所の児童福祉司や児童心理司を増員します。
 深刻な教員不足の解消に向け、都内の公立・私立学校に就職した教員について、奨学金返済を支援する事業を新たに立ち上げます。

防災・まちづくり
 能登半島地震でも広範囲に液状化現象が発生し、住宅の傾斜やライフラインなどの地下埋設物が破損しました。この対策として宅地と公共施設(地下埋設物)を一体として整備する「面的液状化対策」を検討・試行する予算8500万円を盛り込みました。
 災害時の避難所の劣悪な環境が改善されず、問題になっています。予算案にはトイレカーや携帯トイレなどのトイレ環境の確保、簡易ベッドや屋内型仕切り、テント、災害用温水シャワーなど雑魚寝解消と入浴環境の確保などを進める市区町村への支援を新たに計上しました。
 バリアフリーのまちづくりの分野では、とくに視覚障害者団体からの要望が強いホームドアの整備を加速する緊急対策事業を新規に立ち上げ、6億円を計上。これまで事業費の6分の1としてきた都の負担割合を3分の1に拡充し、区市町村の負担をなくします。

既存の賃貸住宅に断熱・再エネ補助
 待ったなしの気候変動対策ですが、都の対応は遅れています。これまで進めてきた省エネ住宅の新規建設を促進する補助制度(東京ゼロエミ住宅普及促進事業)に加え、既存の賃貸住宅の断熱改修を支援する「賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進事業」を新規に実施し、199億円を計上。オーナーが診断・改修に取り組む支援体制を強化します。今後2030年までに約100万戸にする目標を掲げます。
 最も身近な性暴力である「痴漢」について、3年連続で対策、調査の予算を盛り込みました。日本共産党都議団が独自アンケート調査で深刻な被害実態を明らかにし、質問を重ね、署名運動にも取り組むなか、都は局横断の「痴漢撲滅プロジェクトチーム」を23年度にスタート。初めて痴漢被害の実態調査や受験シーズ、年度はじめのキャンペーンなどを実施するようになりました。

再開発に巨額投入
 一方、深刻な物価高騰が続く中、対策予算は1671億円と、一般会計予算が前年度比で8・3%も伸びているのに3・2%しか増えていません。
 高過ぎる国民健康保険料(税)の引き下げや、要望の強いひとり親家庭・障害者の福祉手当の拡充も盛り込んでいません。都営住宅は26年連続で新規建設ゼロです。家賃補助にも背を向けています。
 一方で「無駄遣いだ」と都民の批判が広がっている臨海副都心・お台場の「世界最大級の噴水」設置に26億円を計上。都庁舎などに映像を映すプロジェクションマッピングに16億円を盛り込んでいます。IR(カジノを中核とする統合型リゾート)誘致の調査費1000万円も、20年度から5年連続で未執行なのに、計上し続けています。
 住宅街で陥没事故を起こした東京外環道の建設費51億円、住民が反対している幹線道路「特定整備路線」に459億円、築地市場跡地の再開発に46億円などを盛り込みました。

タイトルとURLをコピーしました