退職拒み減給、許されない

グーグルを提訴 「日本の法律を守れ」
 退職勧奨に応じなかったことで、給与の大幅減額など不当な扱いを受けたとして、IT世界大手のグーグル(親会社アルファベット、米国)の日本法人で働く6人の労働者が、同社に約6300万円の損害賠償を求めて1月31日、東京地裁に提訴しました。原告らは、「グーグルは日本の法律をきちんと守り、社員の信頼にこたえるべきだ」と語っています。

 原告はJMITU(日本金属製造情報通信労働組合)アルファベットユニオン支部の組合員で、30~40代の女性2人、男性4人です。
 グーグルは2023年1月、世界で1万2千人の人員削減を発表。日本でも退職勧奨が行われ、拒否した労働者には給与の減額や、閑職の「追い出し部屋」への異動などが行われました。提訴後の会見で、アルファベットユニオンの小林佐保委員長は、「退職勧奨を受けた社員から、『応じなかったら、追い出し部屋に移された、賞与が減額されたというのは本当ですか』という相談もあった。退職勧奨を断ることへの見せしめとして効果を発揮している」と批判しました。
 訴状によると、6人は2023年に、会社の退職勧奨を受けました。このうち5人は、3月はじめに電子メールで一方的に退職条件を示され、同月15日まで2週間ほどで回答するよう求められたといいます。もう一人は、7月に「担当していた役職がなくなった」として、自分で仕事を探すよう求められました。
 6人は退職勧奨に応じなかったことで、それまでの業務から外され、補助的な業務や、応じなかった社員だけが集められた閑職の部署に異動させられました。この部署は「ジーケアシルバーチーム」という名で、顧客のトラブルサポートへの対応業務のうち、重要度や優先度が低い案件を担う部署です。原告の一人は、「同じトラブルサポートの部署でも、より優先度が高い顧客に対応してきたため、ジーケアシルバーチームでは成果が出しにくくなった。トラブルサポートとは、まったく違う部署から異動させられた社員もいる」と話します。

公平平等を掲げるのに
 同社の一時金は、現金支給と株式付与を組み合わせており、現金支給は57万~150万円の減額を受け、株式付与は500万~1900万円あったのがいずれもゼロになりました。基本給も据え置かれ、本来の年棒より27万~51万円低くなりました。
 代理人の吉田健一弁護士は、「人員の削減は労働者の納得を得て行うべきもので、このようなやり方は人格権の侵害だ」と述べました。
 香港出身の女性は「米国の大学に通う娘二人の学費のため、移住か、娘の中退かを迫られている」として、「公平・平等を掲げてきたグーグルが、心なく、視野の狭い行為をしたことに失望した」と語りました。
 小林委員長は「グーグルは、各国のルールを守るというメッセージを社員に発信しており、今回の事件を聞いた同僚からは『何かの勘違いか、手違いだよ。グーグルがそんなことをするはずがない』とも言われた。グーグルは社員の重い信頼を裏切ってしまった」と指摘。「政府が『ジョブ型雇用』の名で、雇用の流動性を高めようとしている中、このようなやり方を認めると、他社が追随し、日本の法律が骨抜きにされてしまう」と支援を呼びかけました。
 同ユニオンは、「change.org」でネット署名も開始しています。

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