希望するすべての人が、大学などの高等教育を受けられる社会をつくろうと、「高等教育負担軽減プロジェクト」が主催する院内集会が13日、参院議員会館で開かれました。超党派の国会議員、大学教員、学生らが参加し、授業料の半額化や、奨学金返済の負担軽減などを実現するよう求めました。
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奨学金問題対策全国会議の共同代表で、武蔵大学教授の大内裕和氏が基調報告しました。
大内氏は、学生の「ブラックバイト」が社会問題化するなど、教育費の負担軽減を求める世論の高まりのなかで、政府が導入した給付型奨学金や、大学等修学支援制度について、「一定の改善ではあるが、不十分だ」と指摘。今年度、東大、広島大などで学費値上げの動きが起きたことを「暴挙と言っていい」と批判し、それに対し、学生による反対運動が広がったことは「大きな希望だ」と強調しました。
日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社民党の各党から多数の国会議員が参加しました。
共産党の吉良よし子参院議員は、「全国の学生が、学費値上げをやめてほしい、今の学費がそもそも高すぎるという声を上げている。学生の夢を奪う学費値上げは許されない。政治の責任で、無償を目指す負担軽減を必ず実現させたい」と決意を語りました。同党の堀川あきこ衆院議員も、あいさつしました。
多くの学生が不安
若者団体、弁護士など各分野からリレートークがありました。
このなかで、困窮者支援に取り組む、つくろい東京ファンドの稲葉剛氏は、食料配布などの現場で、コロナ禍以降、10代、20代の若者からの相談が大きく増えているとして、「何らかの事情で、親からの支援が受けられなくなったという若者が多い。学んで、セカンドチャンスが得られるよう、支援する社会が必要だ」と強調しました。
東京大学4年の金澤伶氏は、同じ日に全国6つの大学の学生団体が呼びかけて開いた、学生による院内集会について報告。「オンラインを含めて全国から学生が参加した。研究者を目指しているのに、高学費に苦しめられている実態や、外国にルーツを持つ学生の困難など、多くの学生が学費値上げに不安を抱えていることが語られた」と紹介しました。
子どもの支援に取り組むNPO法人「キッズドア」の渡辺由美子氏は閉会あいさつで、「一人親の家庭などから、奨学金をもらって大学に行く子どもたちは、本当に卒業できるか、強い不安を持っている。それでも、大学に入って学べることを、心の底から喜ぶ子が多い。好きな学びを子どもたちができる日本にするため、力を合わせましょう」と呼びかけました。
同プロジェクトは、大学などの授業料半減を求めるオンライン署名に取り組んでおり、3万2千人余りから賛同が寄せられています。