都議会では都市整備委員会に所属し、次から次へと打ち出される巨大再開発計画をただしてきました。実感しているのは「資本主義の暴走」です。こんなことを続けていけば、経済も環境もまちづくりも破たんすることは明白なのに、儲けのために立ち止まることができないのです。
本来、東京都の役割は暴走に歯止めをかけることのはずです。ところが都は国と財界の戦略に沿ってデベロッパーと一体に、いかに規制緩和を進めるかに知恵を絞り、貴重な都会の緑を壊し、ばく大な二酸化炭素排出など持続可能でない街づくりを進めています。
神宮外苑再開発の場合、建設する185㍍の超高層ビルは三井不動産、190㍍ビルは伊藤忠です。神宮外苑は本来、超高層ビルなど建てることができない都市計画公園です。それを公園区域から外し、高さ規制を緩和し、超高層ビルを建てられるようにしたのです。開発事業者に至れり尽くせりで、まさに「財界ファースト」です。
環境の面でも深刻です。大量の樹木を伐採する一方、この開発で年間4万7000㌧ものCO2(二酸化炭素)が発生し、これを森林で吸収するには新宿区3つ分の面積の杉林が必要になります。「脱炭素化」や「東京の緑を守る」と表明した小池知事の方針にも真っ向から反します。
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一つ一つの成長を喜び
地元、杉並区では福島の原発事故を受けて「脱原発デモ杉並」(12年2月)を呼び掛け5000人で成功させた経験が大きい。政党の違いを超え、幅広い区民100人が実行委員会を担いました。この時の仲間と共に、21年衆院選で小選挙区勝利、22年区長選で岸本聡子区長を誕生させました。区長選で呼び掛けた「ひとり街宣全駅制覇」は大きな話題を呼びました。
大勢の人と企画を考え、活動するのが大好きです。その原体験は少年団です。落ち着きのないぼくを指導員は「あきらがいると盛り上がるよ」といってくれました。そんな指導員のような教師になりたいと、東京学芸大学の障害児教育学科に入学しました。
卒業後は障害児教育の現場に立ちました。「初めてスプーンを使って食べたよ」「初めて風呂敷を結ぶことができたよ」と喜び合う教員や涙を流す親たち。誰とも比べず、一人一人の成長を一つ一つ喜んであげられる教育が必要と思いました。
入党したのは大学3年生の時。社会の歯車ではなくて自らの意志で世の中を動かしたい、そのための仲間が必要だと考え入党しました。卒業後も地域の青年たちを集め活動を始めました。そんな時、勇退する区議を引き継ぐことになったのです。26歳の時でした。
陥没事故に悔しい思い
区議4期目の途中、吉田信夫さんの後を継いで都議選に立候補し、初当選しました。すぐに調査活動が激しく求められ、てんてこ舞いの日々でした。そんな中でも20年10月に起きた東京外環道の陥没事故は衝撃でした。トンネル掘削工事の真上の住宅街(調布市)で起こりましたが、私は二年前から「このままでは陥没が起きる」と議会で警鐘を鳴らしていたのです。それでも都や事業者の国、NEXCOは、安全や周辺の生活環境が損なわれるような事態は発生していないという態度でした。陥没事故で住民の財産も人生も台無しになってしまった。「いわんこっちゃない」という感情ではなく「もっと共産党都議団が大きかったら工事は止められた」と自分を責め、本当に悔しい思いをしました。
持続可能な再開発こそ
都内で10年間に建った高さ100㍍を超える超高層ビルは137棟。再開発事業への国と自治体の補助金は毎年約500億円にもなります。都はそのほか巨大再開発にはデッキや道路などのインフラ整備で年間数百億円も計上しています。
杉並区内では住民を追い出し、街を壊す都市計画道路が進行中ですが、再開発と道路建設はセットで進められています。環境と街並みを破壊する再開発に多額の税金を投入し、一方では住宅耐震補強や老朽インフラ修繕には人もお金もかけていません。
共産党都議団は再開発に民主的な規制をかけ、持続可能なまちづくりを進めるために、都市計画審議会条例や環境アセス条例の改正を提案しています。再開発問題は物価高対策などと共に都議選の重要な争点です。神宮外苑再開発でそうしてきたように、各地の住民運動と力を合わせ、巨大再開発と本気でたたかう決意です。