「核抑止」克服 今こそ

“戦争も核兵器もない世界に” 国連本部前 各国市民が集会

吉良氏ら参加

5日、ニューヨークの国連本部前を行進して核兵器廃絶をアピールする(右から左に)笠井、吉良、濱住、下本、つついの各氏(洞口昇幸撮影、しんぶん赤旗提供)

 【ニューヨーク=洞口昇幸】米ニューヨークの国連本部で開催中の核兵器禁止条約第3回締約国会議(3~7日)に参加する日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の濱住治郎事務局長代行、原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の代表団、日本共産党の吉良よし子参院議員、笠井亮前衆院議員、つつい涼介参院長崎選挙区候補は5日、核兵器廃絶を訴える集会に参加しました。

 国連本部前のイザヤの壁での同集会は「核のない世界のためのマンハッタン・プロジェクト」など複数の米国やニューヨーク市の反核・平和団体が共催。米国内外の市民が「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ウォー、ノーモア・ヒバクシャ」と唱和しました。

 胎内被爆者の濱住氏はマイクを持ち、「戦争があったから原爆が使われた。戦争は絶対にしてはいけない。戦争も核兵器もない世界に向かって行進しましょう」と呼びかけました。

 父が被ばく船員の下本節子さん(高知のビキニ被ばく船員訴訟原告団長)は、「日本政府に補償を求めて2016年から裁判を闘っている」と説明。日本の反核運動も紹介しました。

 南アフリカの難民支援団体代表のアイザヤ・モンビロさんも、多くの人の命を奪い地域を壊滅させる危険のある核兵器を断固拒否するため、「米国や日本の人たちとのさらなるつながりが必要だ」と強調しました。韓国の被爆2世や、長崎の高校生平和大使もマイクを握り、核兵器廃絶を目指す思いを語りました。

 参加者はプラカードや横断幕を掲げて米政府の国連代表部まで行進。ニューヨーク市在住のシャーロット・フィリップスさん(83)は「核兵器の犠牲者の言葉は何度聞いても心が痛みます。核兵器はできるかぎり早く廃絶しなければなりません。米国など核保有国は核禁条約にすぐ参加して、本当の平和と安全への道を確実にすべきです」と語りました。

笠井氏 原水協代表し発言 核禁条約締約国会議

 【ニューヨーク=洞口昇幸】米ニューヨークの国連本部で3日から開かれている核兵器禁止条約第3回締約国会議は5日、条約「普遍化」のセッションで、政府と市民社会の代表が、どう参加国を増やし考えを広げるかを討論しました。原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の発言を笠井亮氏(日本共産党前衆院議員)が行いました。同日、国連本部前のイザヤの壁前で核廃絶を訴える集会が開かれ、日本原水協、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表とともに、日本共産党から吉良よし子参院議員と笠井氏が参加しました。

 笠井氏は締約国会議での発言で、核禁条約が地球的規模で核兵器禁止を生きた現実へと変えており、「世界の人々に大きな希望を与えまだ条約に参加していない核保有国や『核の傘』に依存した国でも、市民社会に広範な支持と連帯を生み出している」と強調しました。

 核兵器廃絶を広くスピード感を持って前進させるため、「被爆者や核実験被害者と協力して、核兵器の非人道性について共通の理解を可能な限り広げる努力」を呼びかけました。

 とくに「核抑止」論は、「違法な最悪の大量破壊兵器による威嚇の別名に他ならない」とし、「侵略や戦争を抑止しないばかりか、核軍拡競争の悪循環を助長し、平和と安全をいっそう危うくする」と指摘。「核抑止」論を打ち破る政策的・理論的解明と、被害の実相の全面的な解明と普及の重要性を強調しました。

 被爆80年の8月6日と9日、来年4月の第11回核不拡散条約(NPT)再検討会議を目標に、核兵器のない世界のためのグローバルな市民の行動を呼びかけたいと述べました。

(「しんぶん赤旗」2025年3月7日付より)

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