都議会本会議で2月27、28両日に行われた一般質問には、日本共産党から藤田りょうこ(大田区選出)、米倉春奈(豊島区選出)、原純子(江戸川区選出)の各都議が立ちました。
藤田りょうこ都議

医療ケア児 都が都外施設に支援表明
「重症心身障害児を受け入れる医療型障害児入所施設が足りず、400人を超える待機児がいる」。藤田都議は医療的ケアの必要な重症心身障害児を受け入れる入所施設が不足している問題を取り上げ、都内に施設を増やすとともに都外施設で障害児を受け入れている場合に都の補助対象とするよう求めました。
山口真福祉局長は「都外施設に入所する都内の児童が増えている実態を踏まえ、来年度から必要な措置を行う」と答弁しました。
藤田都議は都内の施設に入れず都外の施設に入所している場合、2000年度以降にできた施設に都が独自の運営費補助「サービス推進費」を出していないことを挙げ、「都外で子どもたちを受け入れている施設に、等しく補助を出すべきだ」と迫りました。
また低すぎる診療報酬や物価高騰、医師・看護師不足で都内民間病院の半数が赤字に陥るなど、「東京の地域医療は深刻な危機に直面している」と強調。独立行政法人化を強行した都立病院も昨年3月時点で、全14病院19病棟で629床が休止したことを挙げ、早急に再開し、医師・看護師を増やすよう求めました。
雲田孝司保健医療局長は、工事以外の理由による休止病棟が2月時点で21病棟705床に増えたことを認めました。
まちづくり
藤田都議は財界ファーストの「まち壊し」から、住み続けられる「まちづくり」への転換を提起。「ものづくり」の街として有名な地元大田区でも町工場が減少しているとし、汎用旋盤を使いこなして、手作業で繊細な金属加工ができる技術の継承と人材育成への支援を提案しました。
小池知事は都内中小企業について「地域の経済と雇用を支えており、事業継続は重要」と表明。「引き続き、経営と技術の両面から中小企業への支援を適切に行っていく」としました。
藤田都議は防災・防犯など地域社会で重要な役割を担う商店街について、この12年間で1割以上も消滅していると指摘。10年間増えていない商店街予算の大幅増、街路灯の維持費やアーケード・アーチの耐震補強への補助率と限度額の大幅引き上げを要求。震災に備えて特別の緊急支援を行う「商店街まるごと耐震化促進事業」を提案しました。
防災対策
藤田都議は共産党都議団が18年に都議会で初めて取り上げた避難所の国際基準「スフィア基準」を、都が新たな「避難所運営指針(素案)」の中で参考にし劣悪な避難所を改善していく方向を示したことは重要と評価。
その上でトイレ、キッチン、ベッドの確保をはじめ、避難所での生活改善を区市町村まかせにせず都内全域で進めるために、都がイニシアチブを発揮するよう求めました。
佐藤智秀総務局長は避難所改善について、「着実に進めるため、新たな補助金の創設などにより区市町村を支援していく」と答弁しました。
米倉春奈都議

単身女性支援拡充を
「いろんな仕事をしてきたが正社員は2回だけ。少ない給料から低年金の両親に仕送りもしている。将来の見通しは持てず、とにかく今がすごく大変」―米倉都議はハラスメント、低賃金などで困窮する就職氷河期の40代女性の声を紹介した上で、実態調査や支援拡充を提起しました。
米倉都議は家父長制が強く残る日本では、男性が正社員で家計を支え、女性は家族のケアを担うので非正規でも低賃金でも良いとされてきた構造や非正規を増やす政策が、シングル女性の困窮を生み出していると指摘。知事の認識を問い、「非正規から正規雇用に転換する事業を拡充すべきだ」と求めました。
田中慎一産業労働局長は「働く場における男女共同参画は十分でなく、男女間の賃金格差などにつながっている」との認識を表明。小池知事は、これまで中小企業が非正規労働者を正社員にした場合に行ってきた都の支援について「来年度は賃上げを行う企業に手厚い支援を進める」と答弁しました。
住宅確保の支援
米倉都議は、低賃金は低年金につながり、65歳以上の1人暮らしの女性の相対的貧困率は4割を超えていると紹介し、高すぎる介護保険料や後期高齢者医療保険料への支援を要望。安全確保のために住宅費が高くなりやすいことや住宅トラブルで単身女性が故の困難さがあることにも触れ、家賃補助や相談支援、さらにシングル女性向けのシェアハウスなど住まいのバリエーションを住宅供給公社と連携して増やすことを提案しました。
都市の樹木保全を
米倉都議は気温上昇が進む中、欧米もアジアも都市の樹木を増やすことを進めているのに、東京には目標も計画もなく、地元豊島区は公園の一人当たりの面積が23区でワースト1だと指摘。
韓国や米、仏など諸外国の樹木を増やす具体的な取り組みを紹介し、都として樹木を増やす計画をつくり、高木の枝葉が土地を覆う面積の割合を示す樹冠被覆率の目標を持って取り組むことや、樹木保全条例を制定し樹木の安易な伐採の規制を提起しました。
米倉都議は海だけでなく大気や土壌を汚染し、人体の健康への重大な脅威となっているマイクロプラスチック汚染の対策強化を強く求めました。
原純子都議

被爆80年、非核都市宣言を
「『原爆の被害は私たちで最後にしてほしい』という被爆者の思いと活動が歴史を動かしています」。原純子都議は、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が昨年、ノーベル平和賞を受賞したことに触れて、こう強調し、被爆者の願いである核兵器廃絶に対する知事の認識をただしました。
その上で原都議は、被爆80年の今年を、被爆の実相を伝え核兵器廃絶に向かう新たな出発の年にすること、核兵器禁止条約締約国会議への都のオブザーバー参加を小池知事に求めました。
知事がミサイル攻撃への対処強化を打ち出したことについて「今やらなければならないのは戦争の準備ではなく、平和をつくる努力だ」と強調。非核平和都市宣言を提起するとともに、被爆体験を伝える写真や絵の展示、証言ビデオ視聴コーナーなどを都庁舎で常設するなど、「次世代に語り継ぐ」取り組みを提案しました。
小池知事は「原爆の記憶を人類共通の記憶として次世代に語り継いでいくことは、今を生きる私たちの重要な使命」と答弁しながら、国の安全保障に関わる問題だとして非核都市宣言は拒否しました。
高額な火葬料
原都議は社会問題ともなっている23区の高額な火葬料について、区内の火葬場9カ所中6カ所を運営する東京博善株式会社が5万9000円を3年で1・5倍の9万円に値上げしたと指摘。2021年に公営火葬場の瑞江葬儀所が2002年まで7200円だったのが受益者負担の考えで5万9600円、20年間で8倍に引き上げたことが背景にあると告発。
厚生労働相が22年11月に自治体に出した事務連絡文書で「火葬場経営が利益追求の手段になって利用者が犠牲になるようなことはあってはならない」として、指導・監督の徹底を求めたことを示し、「都は受益者負担の考え方を改めるべきだ」と強調。高額な火葬料の規制を検討するよう求めました。