地域から学校消える

東京・町田 3分の1統廃合 市民「見直しを」

 東京都町田市で市立の小中学校の3分の1を統廃合する計画が強引に進められようとしています。今年4月からは四つの小学校を2校に統合。対象校に通う子どもや保護者から不安の声が上がる中、計画に反対する市民団体が地域から学校がなくなることに危機感を示し、「5万人署名」に取り組んでいます。(田中真聖)

 同市は2021年5月に「新たな学校づくり推進計画」を策定。40年度までに市立の小中学校62校を41校に統廃合する計画です。

 学校教育法施行規則では、一つの小学校の学級数の適正規模を「12学級以上18学級以下」としています。ところが同市は独自に「18学級から24学級」の基準を設け、17学級以下の学校を強引に廃校しようとしています。

通学が困難

 第1期として、本町田地区の本町田東小学校と本町田小学校が今月末で閉校。4月に統合校の「本町田ひなた小学校」が開校します。現在の本町田東小の場所に新校舎が建設される28年度までは本町田小の既存校舎を使用。統合校の新校舎完成後には、さらに町田第三小学校も統合されます。

 南成瀬地区は南第二小学校と南成瀬小学校が今月末で閉校し、4月に統合校の「成瀬小学校」が開校。南二小の場所に新校舎が建設される28年度までは南成瀬小の既存校舎やプレハブ校舎を使用します。

 教育関係者や保護者らでつくる市民団体「学校をなくさないで!プロジェクト町田」は、学校がなくなることで子どもたちが遠距離での通学を余儀なくされるなどの影響があるとして、統廃合計画の見直しを求めています。昨年5月から「5万人署名」を開始。12月からはオンライン署名も併用し、合わせて14684人分の署名が集まっています。(今年3月10日時点)

 統廃合対象校に通う子どもや保護者は計画をどう思っているのか―。同団体は昨年9月、本町田地区の小学校3校に通う世帯を対象にアンケート調査を実施。91世帯が回答しました。

 通学する子どもや保護者からは「家から学校までの距離が遠くなり40分かかる」「新校舎への通学は保護者が送迎せざるを得ない」「校歌と校章がなくなるのがかなしい」など、回答した約9割が統廃合に不安の声を寄せました。

署名さらに

 同団体の荒井利行代表は、市の「推進計画」では小中学生が20年間に3割減少することを前提としている一方、移り住む住民の割合を小さく仮定しているため、移住してきた子育て世帯の増加が反映されていないといいます。
その上で「今後どの地域が統廃合されるのかを知っていない住民も多い」とし、「署名の全戸配布などを通して問題を共有し、『計画』の見直しを求めていきたい」と述べました。

 同団体はアンケートの結果と寄せられた声を請願書にまとめ、市議会に提出しました。

 統廃合の見直しを求めている日本共産党の田中美穂町田市議は、「市民から中止や見直しを求める請願が多数出されています。市長は、統廃合で教員の数を減らせると成果のように話しています。とんでもないことです。今年の都議選や来年の市議・市長選に向け、追及していきたい」と話しました。

(「しんぶん赤旗」2025年3月17日付)

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