教員残業3割減は粉飾 文科省試算 法案前提に誤り

参院文科委 吉良議員、撤回求める

質問する吉良よし子議員=24日、参院文教委(しんぶん赤旗提供)

 日本共産党の吉良よし子議員は24日の参院文教科学委員会で、公立小中学校の「働き方改革」によって教員の残業時間が2016年調査から22年調査までに3割も減ったとの文部科学省の試算のごまかしを明らかにし、試算の撤回を迫りました。

 吉良氏は、文科省が試算した残業時間3割減を政府が成果として強調し、今国会に提出した教員給与特別措置法(給特法)改定案で、長時間労働の解消をこれまでの取り組みの延長で行う前提としていると指摘。現場の実感・実態と乖離(かいり)していると批判しました。

 吉良氏が3割減の計算方法をただすと、文科省の望月禎初等中等教育局長は、22年と16年とでは休憩時間の計算方法が異なると答弁。22年の推計では同年調査で独自に調べた休憩時間(20分)を差し引いて計算した一方、16年の推計では差し引いていないと認めました。

 吉良氏は「22年の残業時間を短く見せる粉飾だ」とし、比較可能な計算方法で通常期(10、11月期)の残業時間を示すよう要求。望月氏は、22年が1カ月約56時間、16年が約70時間(いずれも小学校)と答弁しました。

 吉良氏は、残業時間は2割減にとどまるうえ、22年は新型コロナの影響で学校行事や部活動が大きく制限されていたため、残業時間が短くなった可能性があると指摘。さらに、06年調査と比べると22年の小学校教員の残業時間が1・6倍に伸びていることも示し、「文科省のまやかしの数字を前提にして法案の議論はできない」と訴えました。阿部俊子文科相は「試算し直すことは考えていない」と拒否しました。

(「しんぶん赤旗」2025年3月25日付)

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