都議会予特 論戦特集Vol.2

 都議会予算特別委員会の総括質疑(13、14日)で日本共産党から立った福手ゆう子(文京区選出)、斉藤まりこ(足立区選出)の各都議の質疑を紹介します。

福手ゆう子都議
住まいの支援を 困っている人に寄り添い

 福手ゆう子都議は、都営住宅の入居対象にならない住まいに困窮する若者などに対する住まいの支援拡充を提起しました。
 都は現在、就職氷河期世代などの若者・中年単身者を対象に、都営住宅の空き住戸を試行的に期限付きで提供するモデル事業に取り組んでいます。
 福手都議は「それだけでは間に合わない深刻な事態が若者たちに広がっている」と指摘。家庭環境が悪く家を出た若者がネットカフェに寝泊まりし、アプリで「すきまバイト」を探して宿泊費を得ている事例を挙げ、都がネットカフェ調査をした2016年度と働き方が大きく変わっていると指摘。
 実態調査とともに新たな支援策として、一度しか使えない「TOKYOチャレンジネット」の一時住宅制度を条件付きで2回目も使える拡充を提案。家賃補助制度の新設も要望しました。
 さらに都営住宅の建て替えで募集停止の住戸を活用して、民間支援団体に支援する場を提供することを提案。小笠原雄一住宅政策本部長は、2023年度末で募集停止している住戸が約8500戸あると明かしました。
 福手都議は「都営住宅の移転事業開始までの期間限定でも活用できると判断すれば、様々な支援を提供できる」と強調。若年女性や難民の外国人、DV被害者やホームレスの人たちを支援する21団体が活用する尼崎市では、現在650戸の目的外使用の承認を受け、国土交通省も認めていると紹介しました。
 福手都議はホームレス状態にある外国人を行政窓口で「一時生活支援事業」の対象から除外し対応されない事例を挙げて、改善を要望。「だれもが安心できる住まいを確保し、どこに住むかはその人が決めるという権利が保障される社会へ、都が先頭に立つことを強く求める」と訴えました。

高層化に反対の声
 文京区では、公開空地の確保と引き換えに容積率など建築規制を大幅緩和する都の「総合設計制度」を活用し、8階建てマンションを20階建て(高さ70㍍)に建て替える計画が起きています。都は2015年度以降の10年間で同制度の申請を69件許可しています。
 福手都議はマンション高層化で、隣接する桜蔭中学・高校では教室の日当たりがほぼなくなり、教室が盗撮される恐れもあるとして、学校関係者が提出した計画見直しを求める請願が全会派の賛成で継続審議になったことを紹介。福手都議の、この10年間に総合設計制度の申請が不許可になった事案があるかとの質問に、谷崎都技監はないと認めました。
 福手都議は「許可制度として機能していない。隣接する学校に被害を及ぼす計画は、市街地環境の整備改善とは言えない」と批判しました。
 都こども基本条例で子どもの意見表明権を明記していることに触れ、「大人にはそれに答える責任がある」と強調。子どもたちの「ずっと日が差さなくなるのは悲しい」「のぞき見、盗撮の可能性はとても怖い」という声を紹介し、「子どもの声も聞かず、子どもや学校に危険が及ぶ計画を進めるべきではない」と追及しました。

斉藤まりこ都議
試験開始15分前に監督募集 英スピテスト中止求める

 斉藤まりこ都議は都内の全公立中学3年生(約7万人)を対象に実施する英語スピーキングテストで、試験直前まで試験監督を募集するなどずさんな運営がされていた実態を示し、改めて中止を迫りました。
 同テストの結果は、都立高校入試の英語の試験結果に加点され、合否判定に用いられます。ところが昨年11月に実施したテストでは、出題を視聴し、解答音声を録音するタブレットの不具合やずさんな試験運営が発生し、255人もの受験生が再試験になりました。
 斉藤都議は午後1時から始まる試験の開始15分前まで運営事業者が試験監督を「緊急募集」したメールを拡大コピーしたパネルを提示。メールは試験当日の11月24日正午すぎの送信で、「募集〆切」は「本日12時45分まで」、勤務時間は「この後すぐ〜17時00分」とあり、12会場で募集しています。
 斉藤都議は「15分前まで試験監督を寄せ集めなければ試験ができない状況は異常事態だ。適切だったと言えるのか」と知事をただしました。小池知事は答弁に立たず、坂本雅彦教育長は「適切に行われたと言っても過言ではない」と強弁しました。
 斉藤都議は「今年度だけで43億円の巨額の税金をかけても15分前までに試験監督が集まっていない。とんでもない状態だ」と強調。ある会場では55人中12人が欠勤し、各部屋に人が配置できなかった事例や、高校入試に関係するテストとは知らずに従事した試験監督、開始合図を忘れたりタイミングが早すぎた事例など、混乱が生じている事実を列挙。区市町村も試験運営を問題視し再発防止を都教委に申し入れていることにも触れ、「事実に向き合えていないのは都教委だけだ」と厳しく批判しました。
 斉藤都議は「受験生の大事な時間を無駄にされて腹が立ちます。本当に失望です。税金のむだ遣いです」という機材トラブルで長時間待たされ再試験となった中学生の怒りの声を紹介。「試験を強行させている知事の責任は重大。同時に後押しを続けている与党をはじめとする議員の姿勢も問われる」と指摘。「破綻が明らかな英語スピーキングテストは中止し、その予算で生きた英語を学ぶ環境づくりを進めるべきだ」と主張しました。

混雑解消を提案
 「毎日圧死するのではと思うほど混雑している」。斉藤都議は23年の電車混雑率177%で、4年連続1位の都営「日暮里・舎人ライナー」について、独自に実施したネットアンケートに寄せられた声を紹介。混雑解消に向けた都の対策強化を求めました。「満員電車ゼロ」は小池知事の公約でもあります。
 アンケート結果では、8割超の人が混雑改善を求めています。斉藤都議は施設の制約から編成車両を増やせない現状を踏まえ、全座席のロングシート化で定員を増やした新型車両への残る4編成の早急な更新、都バスの増便とそのためのドライバー確保を提案しました。
 斉藤都議はこれまでも繰り返し対策を求めてきました。事例として示してきたのが、神戸市でポートライナーの混雑緩和のために、同じ区間を走る民間バスと連携する実証実験を実施していることです。ライナーの定期券利用者に、バスにも乗れる共通パスを発行することで混雑緩和を行っています。
 斉藤都議は、神戸市ではこの取り組みで、混雑率を10%程度、緩和していることを改めて示して、少なくとも混雑の激しい区間で、ライナーの架の下を走る都バスの増便を行い、ライナー利用者の定期券が使用できる実証実験を実施するよう提起しました。
 久我英男交通局長は社会実験について「今後、具体的内容について足立区との協議を進める」と答弁。斉藤都議は「積極的な取り組みを期待する」と述べました。


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