里吉都議「財界ファースト転換を」 一般会計反対7会派41人

 都議会第1回定例会は3月28日、過去最大の2025年度一般会計当初予算案(9兆1580億円)を自民党、都民ファーストの会、公明党などの賛成多数で可決し、閉会しました。同予算案には日本共産党、立憲民主党、ミライ会議、自由を守る会、東京維新の会、グリーンな東京、生活者ネットの7会派41人が反対しました。現在の都議総数124人(定数は127人)の3分の1に上ります。

都議会定例会が閉会
 神宮外苑再開発を巡り、共産、立民、ミライなど6会派共同で提出した都環境影響評価(アセスメント)条例改正案は、7会派41人が賛成しましたが、自民、都ファ、公明などの反対で否決しました。共産党が提出した中小企業賃上げ助成金条例案、子どもの国民健康保険均等割ゼロ円条例案も否決されました。
 むだ遣いとの批判が噴出する世界最大級の噴水整備費(26億円)を含む25年度臨海地域開発事業会計予算案は、共産、立民など6会派が反対しました(表参照)。
 採決に先立つ討論で、日本共産党の里吉ゆみ都議は予算案について、シルバーパス負担軽減など都民の運動で切り開いた成果があるものの、「全体としては暮らしに冷たい」と批判。物価高騰対策が特別会計などを含む予算総額の0・9%にとどまる一方、再開発や大型道路など「財界ファースト」事業に巨額の予算を充てたと指摘しました。
 一般家庭や小規模事業所の水道料金10%値下げは年間195億円(一般会計の0・2%)で実現できると提案しました。
 都の再開発誘導で土地価格が上がり、住宅費や家賃の異常な高騰を招く一方、都がファンドを利用して進める「アフォーダブル住宅」は効果が不明だと強調。100万世帯に月1万円の家賃補助、所得に応じた家賃で住める「都型社会住宅」5万戸、都営住宅10万戸を、いずれも10年間で供給し、再開発の規制を求めました。
 また、6会派共同提案の環境影響評価条例の一部改正案への賛同を呼びかけ、欠陥だらけの英語スピーキングテストの中止と、この質疑を巡って議会ルールを破って資料入手をした坂本雅彦教育長の辞職を要求しました。
 里吉都議はまた、都の幹部職員の天下りポストの「ウラ管理リスト」に都議会自民党の政調会が入っていたことについて「特定会派と執行機関の癒着、なれ合いを断ち切るため、都庁幹部職員の都議会会派への再就職、天下りは禁止すべきだ」と強調しました。

「裏金」反省なく
 里吉都議は、この定例会中に裏金事件に一言も反省や謝罪をせず、逆にこの問題を告発、追及してきた日本共産党と「しんぶん赤旗」に筋違いの攻撃を行った都議会自民党に対し、「ますます国民、都民の信頼を失う。自らの裏金問題に関する事実を全て明らかにすること」を進言。その上で、政治倫理条例検討委員会に裏金議員の参考人招致を求めました。
 「筋違いの攻撃」を行ったのは自民党の松田康将都議で、3月25日の都議会予算特別委員会でのこと。松田氏は3月12日の同委員会でも「『しんぶん赤旗』購読を(都職員に)強制している」と攻撃。この日も「『赤旗』の強制購読という都議の優越的地位を悪用した問題行動」などと繰り返しました。
 しかし、「しんぶん赤旗」の購読を勧めることは憲法で保障された政治活動であり、購読者にとっては内心の自由の問題です。
 里吉都議は「自民党の裏金問題を告発し、追及してきた日本共産党と『しんぶん赤旗』に、悔し紛れに攻撃の矛先を向けたのは筋違い」と指摘。また、松田氏の主張は「旧統一協会系団体の主張と、うり二つだ。先日、解散命令が出された旧統一協会と自民党の深いつながりをうかがわせるもの」と述べました。

坂本教育長の辞任を要求
和泉幹事長が談話

 日本共産党都議団の和泉なおみ幹事長は3月28日、質疑の中で使う配付資料を事前に不正入手した坂本雅彦教育長に対して、辞職を求める談話を発表しました。
 この問題は3月14日の都議会予算特別委員会で、日本共産党の斉藤まりこ都議が一般総括質疑に立つ際に起こりました。坂本教育長は斉藤都議の質疑に先立ち、資料配付の事前準備をしていた担当職員に「スピーキングの資料はあるか」と自ら声をかけて入手したことが明らかになりました。その資料をもとに、質疑中の委員会室で部課長と質問対策の打合せまでしていました。
 質問者が質疑の中で使う配布資料は、質疑内容と密接に関係することから、配布するタイミングは質問する議員の権限に属し、配布されるまで知事・教育長・局長など答弁する理事者に見せないとの約束と信頼関係のもとに、事前に配布担当職員に渡しています。このことは都議会関係者の周知のルールです。

質問権を侵すもの
 和泉幹事長は坂本教育長による、この問題の行為について「議員の質問権を侵すとともに、議会を冒涜(ぼうとく)するもの」「さらに深刻なのは坂本教育長には自らの重大な過ちに対する自覚がなく、今に至るまで反省も謝罪もない」ことだと厳しく指摘。法律は教育長に「人格の高潔」を求めているが、坂本教育長は「かけ離れており、教育行政のトップとして不適格」だと断じています。

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