都議会予特 論戦特集Vol.3

 都議会は3月25日、予算特別委員会で締めくくり総括質疑を行いました。日本共産党から和泉なおみ都議(葛飾区選出)が立ち、この間の論戦を踏まえて平和を守るための都の取り組み、子どもの交通費軽減、高齢者の補聴器購入費助成、物価高騰対策、自民党と都との癒着についてただしました。

和泉なおみ都議
締めくくり総括 戦後80 年平和守る取り組みを

 和泉都議は日本被団協のノーベル平和賞受賞に触れ、終戦、東京大空襲、被爆から80年となる今年、「憲法9条をもつ日本が、世界の平和と核廃絶にどう貢献し、東京が平和を守るためにどう取り組むかが問われている」と提起。1995年に全会派が賛成して採択された「軍縮と核兵器の廃絶を機会あるごとに強く訴え、戦争の惨禍を再び繰り返さない」と決意する「都民平和アピール」の意義を質問しました。
 小池百合子知事は「原爆、戦争の記憶を次の世代へ語り継ぐ、平和の大切さを伝えていくことは重要だ」との認識を示す一方で、核廃絶に向けた取り組みは「国で対応すべきもの」としました。
 和泉都議は「『平和アピール』と相容れない」と批判。核兵器禁止条約の署名、批准を強く国に求めるよう迫りました。
 また、非核平和都市宣言をしていないのは47都道府県中、東京を含め、わずか5都県のみだとし、宣言するよう要求。被団協のノーベル平和賞を祝う横断幕を都庁に掲げることを提案しました。
 広島と長崎、沖縄、大阪など空襲の被害を受けた各都市には、公立の平和祈念館や戦争資料館が設置されています。しかし都では、1996年に建設委員会が設置され都民からの意見募集や5000点もの遺品が寄せられ、基本設計の予算計上がされたものの、1998年、99年の都議会の付帯決議をきっかけに計画を凍結。四半世紀を超えた今も、その状態が続いています。
 今年1月、東京空襲犠牲者遺族会会長の榎本喜久治さん、映画監督の山田洋次さんらが呼びかけ人となって、「平和祈念館」建設の具体化を求める緊急アピールが発表されました。吉永小百合さんはじめ236人の個人と83団体が賛同を寄せています。
 和泉都議はこのことにも触れ、「今こそ力を合わせて、東京大空襲80年の年に『東京都平和祈念館(仮称)』の建設へ、新たな一歩を踏み出そう」と呼びかけ、東京大空襲の『語り部』育成事業を提案しました。

子どもの交通費
 和泉都議は、子どもや学生の移動に欠かせない公共交通について、運賃や定期代が大きな負担となり、進学先の制約や、体験格差につながっていると指摘。子どもの移動権を保障し、負担軽減に向けて▽公共交通の子ども料金の年齢を18歳まで拡大▽通学定期の負担軽減▽学生フリーパスの創設―など、都が支援するよう提案しました。
 都が中学生から大人料金とする根拠について、谷崎馨一都技監は1942年の「鉄道運輸規程」改正を挙げました。和泉都議は同規定が戦時中に作られ、しかも「12歳の子どもの運賃は半額を超えてはならない」とされているだけで、「半額より安くしたり、年齢を広げてはならないというものではない」と指摘しました。

補聴器の購入補助
 都の新年度予算案には「高齢者のくらしの支援」389億円の中に、高額シルバーパスの利用者負担の4割軽減とともに、補聴器購入費を支援する「高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業」が盛り込まれています。
 和泉都議が同事業の意義をただしたのに対し、小池知事は「加齢性難聴は早期発見、早期対応が重要。より多くの自治体で高齢者への補聴器支給等の取り組みが進むよう、補助要件の明確化や普及啓発にかかわる補助拡充など、支援強化を図っている」と答弁しました。
 共産党都議団は2012年に補聴器購入費補助を含む、高齢者などの聞こえの支援の「提言」を発表し、19年には補聴器購入費の都民アンケートの実施や学習会を開催。21、23年の2度にわたり条例提案も行い、本会議、予算特別委員会、常任委員会で繰り返し質問、予算要望もしてきました。
 和泉都議が補助する自治体数を問うたのに対し、山口真福祉局長は24年度33自治体で、新年度は52自治体を対象に予算計上していると明かしました。和泉都議は「大きな前進」だと評価する一方、未実施自治体が10残り、所得制限を設けていない自治体は10にとどまるなど、課題も残されていると強調。
 また、都は補助の一人当たりの上限を14万4900円に設定しているのに、大半の自治体は3〜5万円程度としている実態も挙げ、区市町村の2分の1の費用負担がハードルになっていると指摘。都の100%補助など「思い切った支援の充実を」と求めました。

物価高騰対策
 和泉都議は石油ショックを契機にした狂乱物価(1971年)時に、525人体制で「物価局」を設置した当時の都の対応に触れ、「終わりの見えない物価高騰、追いつかない賃上げ、窮迫する都民の暮らしを都はどう支えるのか問われている」と述べ、都の対策をただしました。
 和泉都議は自らの責任でできることとして、水道料金の負担軽減があると指摘。一般家庭や小規模事業所の上下水道料の10%、消費税分の値下げを提案。年間195億円あれば、都水道局の契約者全体の97%に対して水道料金10%引き下げができると迫りました。

自民の共産党攻撃
狙いは裏金問題棚上げ

 3月25日の予算特別委員会で、自民党の松田康将都議が共産党と「しんぶん赤旗」を中傷した問題で、和泉都議は「自民党の裏金問題を告発、追及してきた共産党と『しんぶん赤旗』に、悔し紛れで攻撃の矛先を向けるのは筋違いだ。まず自らの裏金問題に関する事実を全て明らかにすべきだ」と批判しました。
 和泉都議は今定例会が始まって以降、都議会自民党から反省や謝罪がないと批判。松田氏がこの問題を都議会政治倫理条例検討委員会に持ち込もうとしていることについても、「裏金問題の議論をうやむやにし、棚上げにしたい意図も見え見えだ」と述べました。

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