WTO違反 撤回求めよ

参院委 トランプ関税巡り山添氏

質問する山添拓議員=8日、参院外防委(しんぶん赤旗提供)

日本共産党の山添拓議員は8日の参院外交防衛委員会で、各国への関税を一方的に引き上げるトランプ米大統領による措置は国際貿易機関(WTO)協定との整合性がないと追及し、米国に説明を求め、措置を撤回させるべきだと主張しました。

WTOの主要原則である「最恵国待遇」は関税率を国によって差別してはならないとし、一方的な措置も禁止しています。山添氏が、過去に日本が関税の引き上げによるWTO協定違反を理由に紛争解決の申し立てを行った実績をただしたのに対し、外務省の小林賢一審議官は2021年に中国、19年にインド、00年に米国に対し実施と答弁。山添氏は「トランプ関税」が過去の申し立て事例と比べ対象が広く規模は大きいとして「WTO協定違反は明白だ」と強調しました。

また、トランプ氏は対日貿易赤字額を輸入額で割った数値で関税率を決定しているが、グーグルやアマゾンなどの多国籍企業が日本であげた巨額の収益は必ずしも日米間の収支に反映されず、米国に流れていると指摘。各国に新自由主義的な国際経済秩序を押しつけながら多国籍展開し、安い労働力で利益をあげ、国内で高収益のIT企業に傾斜した結果、米国内での格差と貧困が広がることになったとして、トランプ氏の主張する貿易赤字は「米国自身の責任だ。それを他国との貿易戦争で解消しようなど言語道断だ」と批判しました。

石破首相が米国への巨額の投資を理由に他国と同じように扱うことは認められないとして措置の見直しを求めているが、「日本さえよければという姿勢か」と認識をただしました。

岩屋毅外相は「関税戦争に勝者はいない」としたうえで、「これだけ経済がリンクする国際社会で一国のみが繁栄するなどありえない」と答弁。山添氏は、経済主権を脅かし多大な犠牲を強いる自由貿易ルールの行き詰まりがはっきりしたと強調し「経済主権・食料主権に即した公正な貿易ルールを日本が主導し、新たに構築すべきだ」と述べました。

(「しんぶん赤旗」2025年4月9日付より)

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