共産党 裏金自民都議追い詰める

批判広がり参考人招致へ

政治資金収支報告書の不記載について記者会見で謝罪する都議会自民党の現職都議=1月23日、都庁(しんぶん赤旗提供)

 自民党の政治資金パーティー収入を巡る裏金問題が、国政とともに東京都政でも大問題になっています。日本共産党都議団と「しんぶん赤旗」の調査・追及で都民の批判が広がり、都議会自民党は裏金「中抜き」が発覚したパーティー開催当時の幹事長を務めた都議2人の参考人招致に応ぜざるを得なくなりました。しかし、2人の招致でお茶を濁すのか、裏金の全容を解明して実効性ある再発防止に踏み出すのか、鋭く問われています。(東京都・川井亮)


 9日の都議会政治倫理条例検討委員会。日本共産党、立憲民主党、ミライ会議の3会派が提出していた、裏金問題当事者の自民党都議19人と都議会自民党事務局職員らの招致案を、自民党、都民ファーストの会、公明党が否決。自民、都ファ、公明3党は都議会自民党元幹事長の鈴木章浩、小宮安里両都議の招致を多数で決めました。

裏金づくりを指示した都議会自民党の内部文書を示して記者会見する日本共産党都議団=1月22日、都庁

 検討委で共産党の白石たみお都議は「都議会自民党は裏金をどこに保管し、何に使ったのか、共産党都議団の公開質問状に一つも回答していない。2人だけで済ませようとするのは、お茶を濁すものだ。刑事告発されている都議もおり、うやむやにせず招致すべきだ」と批判。立民の西沢圭太都議も「全容解明を放棄することになる。(全当事者への)文書質問も含めて行うべきだ」、ミライの森愛都議も「2人の招致だけでは全容解明にならない」と指摘しました。

 問題の発端は、都議会自民党が政治資金パーティー収入を政治資金収支報告書に記載していなかった事実を、「しんぶん赤旗」日曜版2023年11月26日号が特報し、神戸学院大学の上脇博之教授が自民党都議を刑事告発したこと。今年1月22日には、都議会自民党が19年12月のパーティーで所属議員1人当たり200万円分のパーティー券を配り販売ノルマを課しながら、100万円分しか納めなくてよいと「中抜き」を指示していた内部文書を、共産党都議団が公表し、大問題になりました。

政倫審の設置提案

 都議会自民党は1月23日に記者会見を開き、現職都議19人を含む26人が不記載だったと謝罪。当事者の一人の宇田川聡史都議会議長(当時)が議長辞任に追い込まれ、宇田川、鈴木、小宮3氏ら幹事長経験者6人を6月の都議選で公認しないと発表しましたが、裏金づくりをいつから行い、どこに保管し、何に使っていたかについて、一切明らかにしませんでした。

 共産党都議団は2月、都議会自民党に▽都議に課したパーティー券販売ノルマの詳細▽不記載だったノルマ超過分の管理方法と使途▽19年と22年以外に開かれたパーティー収入での不記載の有無―などをただす公開質問状を提出。都議会自民党は「既に東京都公報、収支報告書の訂正手続きを行っており、訂正内容の詳細は公開される」とした幹事長コメントを出しただけで、具体的質問には全く答えませんでした。

 共産党都議団は3月5日、「しんぶん赤旗」日曜版が入手した資料を基に、自民党が不記載の事実を認めた26人の他にも、現職国会議員・都議ら少なくとも12人が不記載だったことを指摘しました。白石氏は会見で「都議会自民党は『内部調査が完了した』と述べていたが、うそまみれだった。全容解明と再発防止には、一つ一つ事実を明らかにすることが必要だ」と強調しました。

 共産、立民、ミライなど6会派は2月19日の都議会本会議で、裏金問題を解明する「政治倫理審査委員会」の設置を共同提案。42人が賛成しましたが、自民、都ファ、公明などが否決。自民、都ファ、公明は裏金問題の究明を目的としない政治倫理条例検討委員会の設置を可決しました。

 同日の条例検討委で共産、立民、ミライが自民党裏金都議の参考人招致を求めたのに対し、自民党の川松真一朗都議は「『全容解明しないと進まない』と言って、いつまでも条例をつくれない状況は避けなければ」と自分たちの責任には頬かぶりしました。

崖っぷちの自民 筋違いの攻撃 他会派からも指摘

 追い詰められた自民党は、自分たちの疑惑に何らまともな説明もしない一方、裏金を追及してきた共産党と「しんぶん赤旗」などに苦し紛れの言いがかりをつけました。

 3月12日の都議会予算特別委員会で、自民党の松田康将都議が共産党都議団の活動を取り上げ「都議会議員という優越的な地位を活用し『しんぶん赤旗』購読を(都職員に)強要している。パワーハラスメントそのもの」と中傷。松田氏は25日の予特委でも執拗(しつよう)に繰り返しました。

 共産党は12日の予特委で白石氏、25日には和泉なおみ幹事長がすぐさま反撃。白石氏は「政党機関紙の購読を勧めることは、憲法が保障する政治活動であり、購読者にとっては個人の思想・信条の自由、内心の自由の問題」と指摘し、「政治倫理条例検討委員会にあれこれの問題を持ち込んで裏金問題の解明を棚上げしたい意図もあけすけに語った」とたしなめました。

 自民党は3月31日の条例検討委でも裏金当事者の招致に一切触れずに「社会通念上相当な範囲を超える対応の強要」(平田充孝都議)があったとして共産党と立民の都議4氏の参考人招致を要求。

 これには立民も「裏金当事者を(招致)リストに載せず、他会派を攻撃するのは筋違い」(関口健太郎都議)、ミライも「(自民党が)反省せず他会派に攻撃を向ける人選は残念」(森氏)と批判。都ファからも「委員会は自民党の不記載問題から設置された。他の案件は差し控えるべきだ」(小山有彦都議)と指摘されました。
自民の平田氏は、共産・立民都議を招致するための「資料を次回に示す」としましたが、4月2日にも9日にも検討委に「資料」を示さず、取り下げました。

 9日の検討委では、元東京地検検事の郷原信郎弁護士が参考人として出席し、都議会自民党の裏金について「突き詰めなければならないのは、本当はこの金はどこに入ったのか、どこに帰属すべきかを明らかにすることだ。都議会の場で各議員のパーティーのお金がどういうものだったのか、帰属と性格を明らかにして二度と政治不信を招かないよう万全の措置を講じていただきたい」と述べました。

この指摘にどう応え、裏金の全容解明に踏み出すのか、自民党が問われています。

(「しんぶん赤旗」2025年4月12日付より)

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