日本共産党が16日、「物価高騰から暮らしを守る緊急提案」を発表しました。消費税の引き下げなどを論戦で求めてきた小池晃参院議員(同党書記局長・参院比例代表予定候補)にポイントを聞きました。(荒金哲編集長)

―共産党が緊急提案を発表しました。
提案をまとめるうえで、大きな力になったのが、この間、共産党が全国で取り組んでいる要求対話アンケートでした。すでに100万人近い人たちから回答が寄せられ、物価高に対する悲鳴のような声があふれています。
また、アメリカの無法な「トランプ関税」に、不安が高まっています。
物価高やトランプ関税から、暮らしと営業を守る政策を短く端的に訴えられるよう、都議選、参院選に向けて3つの柱に絞りまとめました。
―消費税5%減税は、小池さん自身が国会で何度も取り上げています。
今回、参院財政金融委員会では、5%への減税で、どれくらい家計の減税になるのかを具体的に示しました。全国商工団体連合会の試算では、総務省の家計調査に消費税率を当てはめ計算すると、一世帯あたり、月1万円、年間12万円の減税になることを示し、財務相に消費税率引き下げを迫りました。
消費税をめぐっては、食料品を非課税にという議論もあります。この試算に当てはめると、食料品を0%にした場合の減税額は一世帯あたり年間6万円程度と、一律5%減税の約半分です。現在は食料品だけでなく、あらゆる物品が値上がりしており、一律5%減税こそ求められる政策ではないでしょうか。
消費税の減税は、買い物をするたびに、減税の効果が得られ、最も効果的な物価対策です。コロナ危機の時期から始まり、今では世界110カ国が、消費税のような付加価値税を減税しました。
また、消費税の負担に苦しむ中小企業の経営を守ることにもつながります。一律5%で複数税率がなくなれば、財務省の言うインボイス導入の口実もなくなります。消費税が累進課税の構造を壊した「税のゆがみ」を正すことにもなります。一石二鳥、三鳥、四鳥といくつも利点があります。
効果ない法人減税
―与党を含め、さまざまな政党からも消費税減税論が出始めています。
それだけ現在の物価高が深刻なことの裏返しだし、その対策として最も効果的なのは消費税減税だと、与党も含めて認めざるを得ない。そういうことだと思います。
消費税を減税するときに、一番、問題になるのが、財源をどうするか、です。緊急提案では、大企業や富裕層の行き過ぎた減税を改めるとともに、現在の大軍拡路線をやめることを提起しました。
予算委員会で私が「大企業の法人税減税は、賃上げや下請け支援に回っていない」と質したところ、石破首相は「法人税を下げたことが、思ったような効果を上げなかったという深い反省のもとに、法人税改革に取り組む」と答弁しました。
深い反省とまで言うほど、大義もないし、目的もはたしていない減税は直ちにやめるべきです。これで11兆円の財源が生み出せます。
また、共産党が繰り返し取り上げてきた「一億円の壁」も正す必要があります。所得が1億円を超えると、所得税の負担率が下がってしまう問題です。石破首相も是正が必要だと認めてきました。
軍事費については、今年度予算でも9・5%と突出して伸びています。しかもトランプ政権に求められて今後、さらに増やす可能性まであります。
消費税5%減税には約15兆円の大きな財源が必要ですが、これらの見直しで、減税を実現するとともに暮らしのための予算を確保することは、十分にできます。
恒久的な財源こそ
―なぜ財源論を重視したのでしょうか?
私たちは、例えばコロナ禍のような緊急の対策の際に、一時的に国債発行で財源をまかなうことは否定しません。しかし、消費税減税は1年、2年で終わる政策ではありません。5%を維持し、さらに廃止を目指すことが、共産党の立場です。
一部に、借金をして消費税減税や廃止をすればよいという議論もありますが、その財源を国債でまかなうとしたら、毎年、数十兆円規模で、借金が増えていきます。利払いだけでも財政の大きな負担になるし、急激なインフレのリスクも生じます。本気で消費税を減税するなら、恒久的な財源を示すことが必要です。
大企業優先の税のゆがみをただす、アメリカ言いなりの軍事拡大路線を見直す、そういった政策は、共産党ならではのものです。日本共産党の頑張りどころです。
―他の二つの提案の柱のポイントは。
賃上げをめぐっては、最低賃金を速やかに1500円にし、さらに1700円を目指すことを掲げました。時給1500円で、月20万円ほどの手取りになります。全労連など労働組合も掲げている1700円の目標を、党としても打ち出しました。
そのためには、中小企業への財政支援が必要です。一番、効果的なのは社会保険料の事業主負担の軽減です。社会保険料は賃上げに連動し、いわば賃金アップへのペナルティとなっています。
年金については安倍政権以来13年間で8・6%も減らされてきました。290兆円の積立金を有効に活用するなど、減らない年金を実現します。
三つ目の柱が医療、介護の分野です。日本病院会など病院関係6団体が、このままでは地域医療が崩壊するという声明を出しました。診療報酬に物価高が反映されず、病院経営そのものが危機に瀕しています。
介護の分野でも、訪問介護の基本報酬が引き下げられ、介護事業所の閉鎖が相次いでいます。地域に病院がなくなる、訪問介護事業者がなくなるという切実な問題の解決は待ったなしです。
比例5人の流れを
―都議選、参院選が迫っています。
共産党都議団は野党第一党として、都政を動かしてきました。都税収入が伸び、史上最高の金額になるなかで、その財政力を都民の暮らしや営業の応援に使う都政を実現するために、何としても19議席を維持し、さらに伸ばしたいと思います。
参院東京選挙区の吉良よし子さんは、「痛みに寄り添い声を届ける」活動で2期12年間、文字通り、さまざまな声を政治に届け、大きな実績を作ってきました。この議席を何としても守らなくてはいけません。
そのためにも、比例代表で、全国で5議席を実現する流れを、東京でつくることが大切です。比例代表は、はたやま和也さん、井上さとしさん、山下よしきさん、白川よう子さん、そして私、小池晃の5人です。この5人をワンチームとして国会に送ってほしい。政治を動かす力を持ったベストチームです。「比例は共産党」の大きな流れをつくることが都議選と参院東京選挙区の勝利の決定的な保証となります。
私も東京、南関東を活動地域に頑張ります。東京の皆さん、比例は日本共産党というご支持を、ぜひ広げてください。